タクシー運転手の全国平均の年収が297万円。都内でも年収が350万円~400万円弱の中で、1000万円を叩きだしているわけだから、ずば抜けていることが分かる。ちなみに都内でバブル全盛期で700万円だったのだから、いかに1000万円が高額かが分かる。
個人タクシーということは、パチンコ業界でいえば弱小、零細ホールに該当する。大手には真似ができなくて弱小ホールならできそうなヒントをこの個人タクシーから学びたい。
まず、A子さんはほぼ固定客で回していた。固定客を付けるために、タクシーの中には小型の冷蔵庫を備え、おしぼりとお茶やビールのサービスまで行っている。
ここまでなら、個人タクシーなら珍しくないが、A子さんはドリンクサービスに加え、誰もやったことがないサービスを始めたのだ。
最近は3組に1組が離婚する時代ともいわれ、やもめや単身赴任者が東京には多い。A子さんの顧客も単身者が少なくなかった。
タクシーの中での会話から洗濯に困っている人が多いことが分かった。それならサービスで洗濯をすれば喜ばれる、と考えるようになった。
この洗濯サービスはことのほか大好評で、今ではA子さんの自宅では、洗濯機と乾燥機が3台ずつ設置されフル稼働している。
洗濯ものは下着からワイシャツまである。ワイシャツにはアイロンまでかけた。有料で行うと許可が必要なので無料を押し通しているが、必ずチップをくれるようになった。
さらに、洗濯物を持って来てもらうために、必ずA子さんのタクシーを呼ぶ必然性が生まれる、というわけだ。
A子さんのきめ細かなサービスに、それまで運転手付きの社用車を使っていた社長が、社用車を止めてA子さんのタクシーに切り替えたケースもある。
こうした地道な努力の積み重ねで、絶対的な固定客をつかみ、年収1000万円を稼ぎ出すようになったのだ。
パチンコのサービスは「出玉が一番」という意見が大多数を占めるが、出玉以外のプラスアルファのサービスが必要であることをA子さんのケースから学ぶことができる。
こういうことを書くと読解力がない人は、文面通りに洗濯のことを取り上げて「ホールではできない」と否定的なコメントを入れるが、何も洗濯サービスをやれという意味ではない。
顧客に喜ばれる出玉以外のプラスアルファのサービスの積み重ねが必要だ、ということだ。特に大手と違って小回りが利く中小、零細ホールにはヒントになったと思う。

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