業界的に良い機械とは何か?
それはズバリこうだ。
1.売り上げが上がる
2.利益が取れる
こういう基準で業界は良い機械を求めた。その結果、生まれた機械が合法的賭博機とまでいわれたアラジンAやミリオンゴット、サラリーマン金太郎などで、1日で100万円も勝てる想定外の出玉に、ホールの雰囲気は殺気立った。
こんな賭博機が長持ちするはずもなく、検定取り消しの運命が待っていた。これは例外中の例外としても、業界の良い機械の判断基準は未だに変わっていない。
この判断基準が射幸性の高い機械を好むヘビーユーザーだけを業界は育成し続けてきた。
射幸性を高めるためにメーカーが考えたことは、スタートの払い出しを下げることだった。
昔はスタートの賞球が7個返しだったものが、6個、5個、4個、3個、とどんどん下がっていった。
おカネがかかり過ぎて遊べない。それは業界で働く者も例外ではない。メーカーの営業マンや店長が打てないものを提供していることが土台無理な話だ。
ヘビーユーザーが好む機械を作るから、余計客離れは加速して行った。その反省からハネモノや甘デジにも少しは軸足は移されたが、今の延長でのモノづくりから転換することがメーカーには求められる。
「CR機の時はニンジンをぶら下げられた。それが売り上げ、粗利が上がる機械だった。エコ遊技機ではこのニンジンは100%付かない。ゲーム性は上がるが、射幸性は上がらない。射幸性をいつまでも追い求めている時代ではない。もっとも、業界が警察庁に射幸性を要求すればするほど射幸性は落とされる。ギャンブル一辺倒ではない機械を皆で考えなければならない」(同)
そもそもパチンコメーカーの社長が最近のパチンコをやっていないことに、機械作りの問題が潜んでいる。
実際にあった話だ。
久しぶりにパチンコを打ったメーカーの社長がこんな感想を漏らした。
「最近のパチンコはえらいことになっている。これはおカネがかかって大変だ」
メーカーの社長がいかに普段、パチンコを打っていないか。身銭を切って初めておカネがかかり過ぎることを体感した。
メーカーの社長は、自社の開発陣が自分の小遣いの範囲で遊べるものを作れと指示を出さなければいけない。
重鎮は1パチについては懐疑的だ。
「低貸しは誰も喜んでいない。皆仕方なくやっている。低貸しでも回らないとどんどん面白くなくなっている。低貸しは手段と目的を履き違えている。4円でおカネを使わない機械をメーカーに作ってもらうこと」
では、4円で遊べる機械とはどんなイメージなのか?
「7個返しのベースが高いパチンコ版のジャグラーを作りたい。ただ、このタイプの機械はヘビーユーザーには物足らない。現行のお客さんに打たせると面白くない、といわれるので、新しいお客さんに打ってもらわなければいけない。皆さんが売り上げや粗利をちょっと我慢すれば、お客さんは増えると確信する」
ホールはあまり買いたがらない7個返しの機械だが、ここから始めなければ業界は変わらない。

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