パチンコ日報

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パチンコ業界のビジネスイノベーションとは

斜陽産業とは、こう定義されている。



生産高や売上高が過去にピークを記録して以来、現在まで低下ないしは低迷状態にあって、将来も不振が続くとみられる産業。これと逆なのが成長産業である。



パチンコ産業は平成7年の市場規模30兆9020億円、店舗数1万8244軒、参加人口2900万人をピークに右肩下がり。平成24年度は市場規模19兆660億円、店舗数1万2149軒、参加人口1110万人、とまさに斜陽産業の一途をたどっている。



なぜ、平成7年がピークだったかというと、平成8年、全日遊連、日遊協、日工組、日電協の業界4団体が「射幸性の高い社会的不適合機」として、ホールで稼働中の98機種、約70万台をホールから“自主”撤去したためだ。



当時はCR機と現金機が混在する過渡期で、CRの一本化を推し進めるために、現金機で連チャンする機種を撤去するのが目的だった。



その余波でハネモノのたぬ吉くんまでが撤去対象になってしまった。この時、CR機普及の立役者となったCR花満開もお役目御免となる。



射幸性が高いという理由なら、CR機も十二分に射幸性が高かったが、現金機のアレパチや権利モノなどのユーザーに支持されていた機種が姿を消してしまったことが、客離れにつながる。



この年、プリペイドカードを推進した元警察庁保安課長の平沢勝栄氏が自民党から立候補して初当選している。



さらに、プリペイドカードの偽造被害に音を上げた日本LECは1万円と5000円の高額カードの発券を停止した年でもある。



プリペイドカード=CR機のターニングポイントが平成8年だったともいえるが、パチンコ機の開発が第1種一辺倒になり、パチンコそのものが面白くなくなって行く。



平成9年には平和とSANKYOが相次いで東証一部に上場した。



こうして振り返ると、パチンコ業界が衰退する原因も見えてくる。



一つはプリペイドカードを強引に推進するために、CR機には確変を認め射幸性を高めたことだ。風営法に反することを監督官庁である警察庁が認めてしまったことだ。その尻拭いをさせられる現職も辛いものがある、というもの。



ただ、衰退することを嘆いていても何も始まらない。



同じ斜陽産業といわれる音楽産業。15年前のピーク時には6000億円あった市場規模が3000億円まで半減している。



その中でも売れているアーチストはいる。ここにビジネスイノベーションのヒントがある、と指摘するのは、慶應義塾大学大学院教授の岸博幸氏だ。



岸氏はエイベックス・マーケティングの取締役も務めている。



音楽産業はネットの普及や違法コピーなどによってCDが売れなくなった、といわれているが、岸氏の見解は違う。



「音楽のメインターゲットである若者がデフレでおカネを使わなくなった。40年前と同じことをしているから衰退する。その中でビジネスノベーションで成功したのがAKB48やきゃりーぱみゅぱみゅ」



CDが売れないという時代にAKBはCD売り上げだけでも200億円以上、総選挙による経済的波及効果も200億円以上といわれている。



AKB戦略は明確だった。



まず、本拠地を秋葉原にしたこと。



ここはいわずと知れたオタクの聖地。彼らは3食をコンビニ弁当で我慢しても、1枚10万円もする高額のアニメのセル画を買ったりする。



まず、そういう層をターゲットにしたことがイノベーションの始まりで、CDには握手券や総選挙の投票券を入れて発売した。これが次なるイノベーションだった。



握手券や投票券欲しさに、1人で50枚、100枚と大人買いする者も続出した。CDの売り上げが上がったのは裾野が広がった、というよりオタクの心理を巧妙に突いた結果でもある。



ターゲットを変え、CDに付加価値を付ける方法がビジネスイノベーションともいえる。



「パチンコ業界でもビジネスイノベーションは作れる。パチンコ店はカジノにはできないことがたくさんある。AKBになるために一歩を踏み出す年」と岸氏は示唆する。



ビジネスイノベーションとはマルハンの社訓ともなっている創意工夫のことである。





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