「来年は買いません。1万台しか販売しない機械は最初から土俵に乗せません。買ってもいいのは海と北斗とガロぐらい。それ以外で必要なら中古機でもいい」
このホール企業のスタンスで言えば、1機種5000台しか販売しないメーカーは、入る隙間もないことになる。
去年のパチンコの新台販売はかろうじて200万台はキープしたようだが、今年は200万台を切ることが予想されている。2005年には年間400万台のパチンコ機が販売されたことを考えれば、この9年あまりで半減したことになる。
メーカーがこれまで強気に出てこれたのは、文句をいいながらもホールが買ってしまうからだ。
しかし、パチンコ市場は年々悪化の一途をたどっている。文句をいいながら買っていたホールが、本当に買わなくなるのが折りしも消費税が増税される2014年。
このホール企業の場合は、今年は機械代を1~2割削減する方針だ。
SFロボットアニメをモチーフにした機械をグループで30台発注した。ところがメーカーが機歴を持ち出してきて、「半分しか入れられない」と強気な態度に出てきた。
それほど導入したい機械ではなかったことに加え、この先欲しい機械の発売めどもないことから、ホールは「じゃ、0でいいです」と応酬した。
予想外の行動にビビッタのがメーカーだった。
前言を撤回して「30台入れます」と態度を軟化してきたが、時すでに遅し。メーカーは1000万円以上の売り上げを捨ててしまった。
「稼働命」で飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進してきたメーカーも、昨年はヒット機種に恵まれていない。
いつまでも売り手市場は続かないことが予想される。
で、このホールが、機械購入の一応の目安になるのが、メーカーの販売台数。それによってメーカーの力の入れようが分かる、というもの。1万台以下は新人教育のような機械と看做されてしまうようだ。
5~6万台以上が購入評価の対象になる。
「ガンダムは色々なメーカーから発売されていますが、私は否定的です。ガンダムファンですが、ガンダム自体がパチンコのコンテンツに向いていないと思う。刺々しさがない。版元がうるさいので、手を加えることもできない。非常に難しい」
ビッグタイトルだからという理由だけは機械を買わない、ということのようだ。
「頑張って売っていたが、ここ最近ヒット機種がない。この販社には煮え湯どころか、熱湯を飲まされてきた。たまに一撃の可能性を秘めた機械を出すので、その強迫観念がホールにはある」
新台導入の強迫観念からホールが解放された時、メーカーもようやく販売方法を変えてくるはずだ。
買い手より売り手のほうが強い歪な業界構造が解消されれば、機械代も下がるというもの。下がった機械代を還元することが、パチンコを辞めたユーザーが戻ってくる第一歩だ。

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