私の知るホールさんは地域貢献の一つとして毎年店休日を利用して“夏祭り”をやられていました。そして、町内をはじめ近郊地域の皆さんが親子連れで随分集まっていらっしゃいました。
その“夏祭り”はお盆過ぎの1日だけ、ホール横の立体駐車場の2Fと1Fで催されていました。
2Fは縁日の定番、金魚すくいやヨーヨー釣り、輪投げや射的、そして綿菓子やかき氷、ポップコーンやポンポン菓子などの機器が設営され、縁日コーナーとして賑わっていました。
そして、1Fの体験コーナーでは1日2回、小学校の中・高学年児童の為の「工作教室」を開いたり、 体験体感型の“竹馬教室”“竹とんぼ教室”などをやっていました。
特に、「工作教室」は親子に好評で、早い話が、夏休みの宿題の中の「課題作品」として学校に持って行けるようなアイテムを選んで準備されていたので、当然と云えば当然です。
小学生の子供を持つ親からすれば、2学期の始業式前に気忙しくドタバタしながら子供の夏休みの宿題の手助けをやる負担が減るわけですから、正直、有り難かったのだと思います。
教室は子供一人で来ても、ご近所の遊び仲間と一緒に「課題作品」づくりをやれるわけですから 、自宅で一人でやるより数段楽しいし、工程を細かく教えてくれる指導員もいるので悩まなくてすむ。
当然、その指導員はホールのスタッフさん達だったのですが。
また、親同伴の子供たちは、父母が手伝う。だから、そこに親子の触れ合いもありました。
“竹馬教室”では昔とった杵柄でお父さんが模範演技をしてみせる。
竹馬に馴染みのない子供たち。そして初めて目にするお父さんの勇姿に目を輝かせ、お父さんの偉さを再認識!?
そして、父母やスタッフさんから乗り方、操作の按配を教えて貰い自らも挑戦!
そんな温かくほのぼのとしたシーンを会場のあちこちで見ることが出来ました。
そんなこともあり、町内会長さんや地域の育成会の方から毎年「夏祭り」の中身と開催予定日に関する事前問い合わせがあったと聞いています。
最近の世間の風当たりを考えれば、駐車場とは云えホールの敷地内での夏のイベント。
子供たちを参加させることに対する是非論も出るでしょうし、「子供をエサに親を取り込むつもりか!」。
そんな罵声に似た厳しい声すら聞こえて来そうです。
また、現実的に、今やろうものなら所轄からアリガタクナイご指導を受けてしまうのでしょう。
しかし、当時は大らかで、殆ど批判的な声は無かったように記憶しています。
それより、どちらかと云えば好意的な声が多かったように思えます。
そのホールさんは稼働もよく固定のお客様もついていたのですが、残念ながらある事情で廃業され、今は複数の異業種の方々がその敷地で商いをされています。
こんな昔話は、懐古主義的な戯言に過ぎないと言われるかも知れません。
しかし、地域貢献と称し、地元住民の方々とうまく共生する手法は様々あったでしょうが、其処には地域貢献の良き原風景の一つが間違いなく在ったように思えます。
例えば、地域貢献の一つに地域催事、地域の公共施設への寄付が考えられます。
寄付と云う行為自体は悪いことではないし、やるべき時はやれる範囲で寄付金を出し協力するに越したことはありません。
しかし、“お金”さえ出しておけば。“お金”を出してやってる。とにかく“お金”で片を付ける。
私はこの感覚を余り良しとしませんし、この感覚の先に個人主義の金銭亡者のイメージに繋がる要因があるような気がします。
業界の全ての経営者がそうだとは言いませんし、経営者として現実的な心労・辛苦は皆無、 などと揶揄するつもりもありません。
只、庶民とかけ離れた金銭感覚と経営感覚を持つ異様な経営者集団がパチンコ業界の内情。
そこに写し出されている経営者像は“お金”を吸い上げることだけに精を出す利己主義者。
どうしても、そんなレッテルを貼られてしまっている現実は否めないと感じます。
事の真相は別にして、残念ですが、それが今の大衆の見解、世論に近い気がします。
地域住民の方々そしてお客様と、遊技機が並ぶホール空間を少し離れた処で触れ合う機会。今はそんな機会を殆ど持てない状況です。
「自業自得なんだよっ!」と云う叱声もあるでしょうが、杓子定規ではなく、
自由裁量の余地を残した所轄の指導。
どんな目的で何をやるのかをしっかりと見極めた上で、適宜寛容な所轄の指導。
そんなものは、もう此の先期待できないのでしょうか。
自浄力の強化と信用回復の取り組みを試行する組合、そしてそれを見守り援護する所轄。
そんなニ者の姿を見ることは、夢のまた夢なのでしょうか。また、永遠に。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。コメントがエントリーになる場合もあります。