ここ最近は、右側にゲージがなく左側だけという非常に釘の本数が少ない台が多い。この傾向は個人的には大反対なのだ。確かに調整するには本数が少なくなった為、楽にはなったが遊技という観点から見ると、大きくゲーム性を損なっていると感じる。
たとえば偶然右側に飛んだ玉が、偶然スタートチャッカーには入った時、チョッと嬉しいという感情がそこに生まれた事はないだろうか? 左側だけのゲージだと100%起こりえないのだ。
これは少し違うけど、大当たりの時、下部のアタッカーにダブル・トリプルで玉が入り規定個数より多く入った時、チョッと嬉しくないだろうか?
昔でいえば、開いているチューリップに2個ダブルで入ると、又開くというチョッと嬉しい出来事。これらのチョッと嬉しい感というのはとても大事な事で、遊技が楽しい娯楽と再認識させられる瞬間である。
様々な演出を作り出すためにも、本来釘の本数が多ければ多いほど良いのだが、発売される台はそうでないものばかり・・・ただ嘆いてばかりはいられないので、今の台での必要性を。
昔は『釘師』と呼ばれる人達が、僅かな情報と経験と感を基に、釘をコントロールしていたわけだけど、今は溢れるほどのデータを基に調整しなくてはならない。
現在は、ベテランも多いが非常に若い人も多く調整に携わっている。正直すべての人が上手というわけではない。よくこんな人に任せているな、という人も存在する。それは繁盛店であってもである。
これらは表立ってわからない為、顧客に関係ないといえば関係ない。しかしプロである以上このような行為は失礼この上なく、いずれは見極められ顧客離れに繋がる。
そういった要因も結局は大型店の弊害という事も一理ある。人を育てる前に大型店を出店し、店長一人が調整するには台数が多すぎ、未熟者に頼らざるを得ないという現況。
ここ最近のグランドオープンで 一~二週間すると客数が伸びなくなるという現象はこれらも原因だろう。確かに今の時代、釘だけで客を呼べるとは正直自分も考えていない。
しかし、釘で離れていく客がいるのは間違いない。逆に考えると呼べているかも?と思う事ぐらいはある。ではどうすれば良いのか?
ここ最近の多くのホールは、データを釘調整で揃えたがる傾向にある。確かに揃うに越した事はないが、そんなに一発で揃うなんて事は不可能なのだ。
正直、メーカーによっては酷いゲージを組んでいるのもある。大手もたまにある。そんな台は購入しなければ良いだけの話で、玉の動きを導きやすく、尚且つ予想外の動きを稀にする台がゲージとしては好ましい。
釘調整とはなんぞや? と講義などで問う事があるのだが、多くの人が利益を確保する為と答える。確かに最終的にはソコに繋がるわけだが、持論は玉のスピードコントロールである。
要するに場所によって玉のスピードを速くしたり、遅くしたりして目的とする所へ釘によって玉を導いてやるものと認識している。それに偶然性が加わると尚良い。
そして多くの人間が管理するのであれば、共通の認識・同レベルの技術が必要なのはいうまでもない。昔のように見て学ぶだけというのは 非常に効率も悪いだけだ。
■データの必要性
最近のホールコンピューターは、かなり詳細な部分までデータが出ており 営業戦略に活かすには十二分なほどの情報が詰まっている。
このデータの必要性は、誰もが感じているとは思うが、人によっては見当違いに見ていたり把握していたりする。配線の不備や機械トラブルによる異常データも、大きなものは発見しやすいが、細かな部分になってくると経験というものが必要になる。
そして何より大事なのは、自動計算されたデータの把握だけではなく、何故、どのようにしてそのデータが導き出されているのかを早い段階で理解する事である。
そうする事によって、玉一個の大切さも分かるだろうし、釘調整の大切さも理解出来るようになるのではないか? 基礎から地道に一歩ずつ始めるのが良いだろう。
まず手始めにどうするか? 社外部・内部問わず研修をするのもいいだろうが、その際の欠点は、研修が終わった後データに触れる機会が減ってしまうと、数字に対するモチベーションが下がってしまう事だ。
この業界に限らず、多くの会社が研修などを行なっていると思うが、その欠点は共通しているように思う。研修時や終わった直後などは「よーし、頑張るぞ」と思っていても通常業務に戻ると、現実というものが待ち受けている。
それらを払拭できる社内体制でない限りは どんな良い研修を受けたって 費用のムダ・時間のムダになってしまうのである。それでは教える側もやりきれない・・・
とにかくデータの必要性を理解しようという手始めは、ナマのデータを漠然とでいいから毎日見続ける事。そうする事によって必ず疑問点が出てくる。その時大事なのは、それをフォローできる上司や同僚がいなくてはならない。
何でもそうだが『継続は力なり』なのだ。
そして、少しずつ理解し始めれば 次には各部分々々の平均データ把握を心掛ける。これは店舗責任者なども同様なのだが、店全体や全体平均だけではキメ細かな営業には対処できない。昔のドンブリ勘定など論外である。
そしてそれらの数字の動きを毎日見続ける事で、データの流れ、営業の流れというものを理解出来るようになる。確かに数字が苦手、という人もいるだろう。
しかし、それを避け続けていてはホール営業者として、失格の烙印を押さなくてはならない。ただ、数字は苦手だけど接客だけはプロ中のプロと誰もが認めるようであれば、接客専門のスペシャリストを目指せばよい。
そして、店舗責任者になると、データの把握だけに限らず、様々な能力が求められる為、避けては通れない道である。それでも悲しいかな、おぼろげながらのデータ把握だけという店長が実在するのも確かだ。
その立場に就かせた会社にも責任はあるが、その程度でも店舗運営が出来なくはないから恐い。ただソコが永続的に続くかどうかは明らかであると確信しているが・・・
データというものを結果でしかないと見る人もたまにいるが、それらは全て必然的に出てきたものであり、偶然その数値になる事はあったとしても否定して欲しい。
根拠のある釘調整が出来ていれば、予想数値の範囲内で収まる事は経験者なら理解できるだろう。特に熟練者になると予想数値の下限から上限まではキッチリと把握できているものだ。
それが若手であろうと大ベテランであろうと関係なく、である。

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