こんな潔癖症がいたら周りは大変だが、潔癖症のアルバイトを採用して困ったホールの話だ。
表回りの仕事の中に、灰皿清掃や空き缶回収がある。
バイト君の行動を見ていると、空き缶の場合、飲み口のところはまず触ろうとしない。タバコも吸い口の方は絶対に触ろうとしない。
持ち方も本当に汚いものを触るかのような仕草で、お客の目からも異様に映り始めた。
客と通路ですれ違う時も、体が絶対に触れないように、椅子の間に入るので、これは逆に丁寧な対応に見えた。
それでもある時、体が触れたことがあった。
その時は客の汗をかいた腕がバイト君に触れてしまった。するとバイト君は速攻でトイレに駆け込み、汗を付けられた腕を洗い流した。
挙動がおかしいので客からもクレームとまではいかないが、「変な奴」という声が挙がるようになった。
それで、バイト君に注したところ、潔癖症であることを告白したのであった。
そういわれて、これまでを振り返って店長は、バイト君の挙動がおかしいと思ったのは初日からだった。
クリーニングした制服を渡したとき、「これを着るのは明日からでもいいですか?」といわれ、変なことをいう奴だなと思った。
クリーニングできれいになっているのに、バイト君は他の人が着た汚れものを一緒に洗うことがダメだった。
「人のものと一緒に洗うのが嫌いなんです。自分で納得する洗い方があるのでそうやらないと気が済まないんです」
バイト君にはトイレ清掃もあった。
その時はどうしていたのかと尋ねた。
「みんなが使っているゴム手袋は使えないので、自分でゴム手袋を買ってきていました。1回使ったものはすぐに捨てていました」
面接で「あなたは潔癖症ですか?」と聞くような会社はあまり聞いたことがない。
お客さんが不快な思いをしていることもあって注意したわけだ。困った人を採用してしまった、と悩む間もなく、バイト君の答えは明快だった。
「では辞めさせていただきます」
ほっと胸をなでおろす店長。
「試用期間中に見極められなかった自分にも反省点はあります。これからはゴミの回収もちゃんとできますか?と面接の時に聞かなければならなくなりましたが、いい勉強でした」
潔癖症の人はまずパチンコは打たないんだろうな。
他人が握ったハンドルなどまず触れるわけがない。

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