パチンコ日報

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パチンコ産業革命その10

■ホール独自の計算方法



ホールには他業種ではまず使わない『割数』なるものが存在する。これはホールの収支を表すものであり、業界人であれば大半の人が知っている。がしかし正確に知らない人も少なくない。



『割数』には営業中に算出されるものと閉店後に算出されるものに分かれる。これらを正確に述べられない人がホール営業に携わっている事が多いのに驚く。



計算方法は単純に出て行ったもの(景品)を入ってきたもの(売上)で割ればいいのだが営業中はそれが出来ない。ではどうするかといえば玉の出入りから『推定景品額』を算出し、それを売上で割る。ただそれだけ・・・



だがここから厄介なのが利益算出の時、それらの項目を使うのだがホールには『交換率』なるものが存在する。しかも全国、店単位で自由・バラバラで営業できるから厄介なのだ。



大半のホールは玉1個4円で貸し出している。ここ最近一部で低価貸しを行っているホールもあるが、それは後述しよう。等価交換の店も当然あるが東日本は3円交換と言ってみたり2.5円交換という表現をする。



対して西日本は百円で25個貸して、返してもらうとき30個頂くという風に、30個交換とか33個交換という表現をする。何故か名古屋近隣だけは200円単位なのだが・・・



その為、利益計算を行なう時は、交換率によって景品に対する掛け率というものをホールによって変えなければならない。研修時はここを理解してもらうのに時間が掛かるときもある。



この『割数』を最低限の基本とし、膨大な営業データというものをホールコンピューターは蓄積している。それらをひとつひとつ見つめ直し営業に活かさない手はない。



昔のどんぶり勘定主流の時代でも、売上というものは明確であった。しかし今は店舗全体売上・台売上・玉単価と分別され、遊技によって動いた玉1個の売上値を出すようになっている。



これらの数値は営業方法(たとえば無制限・共有あり)などによって大きく左右され、パチンコバブルと言われた頃は台売上10万円超も珍しくなかった。



しかし、現在のような台移動自由や持玉の共有が可能であれば、売上は入りにくく当然以前よりは下がる。繁盛店でも当時の半分以下という現状だ。



そして、利益においても店舗全体粗利・台粗利・玉粗利と分けられ、それぞれの数値がホールコンピューターで算出される。中でも玉粗利というものはここ10年以内に取り上げられるようになり、アウト玉1個につきどれだけ利益を上げたかというデータである。



しかし、この玉粗利は、結果の数値であり営業の指標とするには、とても危険であると自分は思っている。最終的に目標数値に近づくというのは問題ないが、目標数値に近づける為の調整や営業内容というのは賛同できない。



それよりも台粗利が日平均いくら取れて、機械代回収にどのくらいの期間が必要で、どのような利益コントロールをすれば、台が長持ちするのかを考える方が大事なのだ。



ホールからすると遊技台は出来れば永く使いたいと思っているはず。それをやむなく稼動が落ちて利益が取れなくなって撤去する羽目になる責任の一端はホールにある。



更に望ましいのは、導入前にひとつひとつの機械に対して、十二分な検討がなされるべきである。これは売る側の問題点が多いのもあるが、ホールもどうだろう?と思うぐらいなら導入しなければよいのだ。



それを我先にと競ってまで導入して、総客数が増え続けるのなら否定はしない。しかし大半のホールは客の店内移動に終わり、多少集客増に繋がったホールでも数日すると元に戻り、抱えたのは機械代だけという悪循環に陥るのだ。



その悪循環を知りつつもホールは利益を取らないといけない。そして稼動がある機種(新台など)から取ってしまう。すると稼動が落ちて利益が取れなくなるという最低な営業方法を取らざるを得なくなる。



そのようなホールは、これらを変革していかない限り、立ち直りの機会は無いに等しい。確かに新しいもの好きなユーザーもいる事はいる。しかし、その人達の総数より遊びなれた機械を選択する遊技客の方がはるかに多いのだ。



その遊びなれた遊技台にまで利益負担がいくようになれば、それはすでに末期症状。店全体の落ち込みは止まらなくなり、歯止めをしようにも効かなくなるのだ。



■ホール業界は以外に利益率が低い



これはどういう事かというと、ホール内の実情と遊技客のギャップが大きすぎる事が業界に対する不信感というものに繋がっていると思うのだ。



安定してプラス収支の『パチプロ』や一握りのプラス収支の人は別として 多くの遊技客はマイナス収支だと思うのだ。その人達が感じるホール側の利益率というものは50~80パーセントであると推測される。



時折、町内の飲み会などに参加すると、そのような話をよく聞くので、世間一般の意見も当たらずとも遠からずだと思う。



しかし、実際にはソコまでの店というのはおそらく、日本全国1軒もない。というより機械の性能上、ソコまで出ない事はないのだ。ここに大きなギャップがある。



実際の数値でいえば利益率が一桁であればまず薄利営業といわれ、10~15パーセント程度が適正利益と言われる。そしてそれらを超え20パーセント超になると『ボッタクリ』と言われる。



ようするに控除率25パーセントの競馬などと比べると遥かに低いのだ。しかし遊技客はそう感じない。それらを払拭するにはどうすれば良いのか? 行き着くところは『薄利多売』商売の基本である。



これは一朝一夕に出来るはずもなく、グランドオープン以降、無くしてきた信用を取り戻すしかないのだ。そのためにもある程度の年数が経った店には、完全リニューアルなども必要だ。



しかし、このリニューアルも、ただ内・外装を変えるだけでは数日後、元の木阿弥になるのは目に見えている。



リニューアル成功の鍵は、綿密な営業計画や結果分析、そして、柔軟な修正能力というものが確立されていなければ、改装費用だけが圧し掛かるという最悪の展開になりかねない。



そして、完全リニューアルに来店していただいた遊技客というのは、その店に期待をしているから来店したという心理状態をホール側は敏感に掴まなくてはならない。



まぁ、そもそもリニューアルを成功させるだけの運営能力があれば、元から集客能力があるだろうから、リニューアルなどしなくてもいいかもしれない。店舗自体が古くなったので仕方なくという選択肢しかないだろう。



話は戻って利益率のギャップ。これ結局は飲食業界や他の業界と違って、日銭の多さや利益額の多さが、多大に影響しているのだと思う。



例えば、1日1000万円の売上店が10パーセントの利益率だったとすると100万円という膨大な利益額を確保できるが問題はその先。その金額に見合うだけのサービスというものをホール側が提供出来ているかという事なのだ。



よく例に挙げられるのが『喫茶店』。コーヒー一杯300円で、新聞・雑誌を読むことができる、水が出る、おしぼりが出る、最後にお茶も出る。そして、店員によっては素晴らしい笑顔も見せてもらえる。



そう考えるとホールは・・・というと、いまの時代、パチンコを300円で遊ぶ事すら出来ないホールが多い。そしてスロットでいうと、まず1000円が必要となり、しかも滅多にそれだけで大当たりする事などない。(自分も過去数回しかない)



前述しているけど この金銭感覚の異空間をどれだけサービスに繋げていけるか、そして、来店・遊技に対する感謝の気持ちを伝える事が出来るかが繁盛店とそうでない店の境目である。







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