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ブランド景品が射幸心を煽った時代

貯玉再プレイスステムが業界で認可された当時の話だ。



まだ、システムがスタートしたばかりで、地域で一番最初にシステムを導入。カード会員を獲得して、貯玉してもらえば、顧客の囲い込みができて、競合店にお客が流れない、と考えられていた。



ここに着目したのがある景品業者だった。



業界ではまだブランド物景品が珍しい時代で、この業者はブランド景品を得意としていて、社長自らが香港まで仕入れに行っていた。



景品業者の社長がホールに提案したのが、カード会員専用の景品コーナーだった。



業者が専用のショーケースを設え、その中に、ビトン、グッチなどのブランド物の時計、キーホルダー、小銭入れ、名刺入れなどを提供する、というものだった。



業者はブランドショップの直営店も経営していた。定価8万円もするブランド時計が、1000個単位で仕入れると、8000円まで仕入れ値が下がるものもあった。



そこで抱えていた不良在庫を一掃する狙いもあった。売れないものをいつまでも抱えるよりも損切りしてでもはかしたかった。



定価は3万円~5万円するようなブランド小物を1万円景品として提供する、というのだから、この話に早速乗ってきたホールがあった。



28店舗のチェーン店中、15軒が貯玉会員専用のブランド景品コーナーを採用することになった。



この企画は、ズバリ当たった。



ブランド景品欲しさに、貯玉会員になると、1万円分の玉を買ってそのままジェットカウンターに流して、景品と交換するお客もいたほどだ。



それほど、まだブランド小物が重宝された時代だった。



ところが、2~3日で撤去させられた店舗が相次ぐようになり、その数は半数に及んだ。



理由はホールの近所の小売店からのクレームだった。



定価販売しかしないビトンが定価よりも大幅に安いのは偽物を販売しているのに違いない、という警察へのたれ込みだった。



景品は決して偽物ではなかった。前述したように不良在庫を赤字ではかしているものもあった。



偽物ではないのに、撤去しろと指導が入る所轄と何もいってこない所轄があることに業者の社長は戸惑った。



警察上層部に同級生がいたためにさっそく相談した。



「これは本物なら定価より2~3倍高いものを1万円で提供するのだから、射幸心を煽ることにもなる。地域、地域で事情がそれぞれ違うので防犯課の裁量は所轄に任せている」という返事だったが、行政指導に唖然とするしかなかった。



しかし、本物を提供した結果、射幸心を煽ることになるといわれれば、それ以上続けることはできなかった。





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