どんぴしゃ完成直後の売り出し期
どんぴしゃを商品化して設置第1号店は、横浜市青葉区の店舗だった。テスト導入の結果、チェーン店に全店導入された。業界誌で記事紹介して知名度も上がった。
導入ホールの釘担当者からは、台の取付角度の調整が、釘の調整と同等に効果がある、という言葉が聞こえてくるようになった。
伝説の釘師と称される人には、傾斜角度に関するこんな逸話があった。
その店舗は名古屋駅の近くにあった。いつ行っても朝から客が溢れているホールだ。
このホールの伝説の釘師の技術を盗もうと、何人ものパチンコ関係者がホールに足を運んで調べるも、釘の調整方法を見破ることはできなかった。
ある日、閉まった店舗の中をたまたま覗ける隙間を発見した一人の釘師が、中の様子を見ていると、伝説の釘師が一人でハンマーとバールそれに傾斜器を携え、釘帳を見ているところに出くわした。
目を凝らして見続けていると、台を開けバールをやおら取り出し、台枠を打ち付けてある釘を抜き、つぎにハンマーでこの釘を再度島に打ち付け、傾斜器を当てながら傾斜の具合を丹念に合わせていた。
伝説の釘師は傾斜角度まで変えていたのだった。
客離れを大きな理由の一つとして「釘調整」を指摘するのは、大手ホールの統括部長だ。
「10分の1の精度の高いクギ調整を要求された場合、スケールメリットという物の考え方でいくと、ちょっとネカセただけでも粗利が違う。例えばスタート回数を1分間に5.5回という数値を5.3回に変化させることができる。この0.2回という数値は1カ月経つと違いが出てくる。これをクギ調整でやれといっても戻せない。仮にやろうとするとアケ過ぎ、シメ過ぎの問題が生じてくる」
さらにこう指摘する。
「玉利10銭×アウト6万発で6000円。3万発しか入らない店は3000円しか粗利がない。3000円か6000円といったら天国と地獄程の差がある。簡単にいえば玉利11銭でやろうとした時にクギ調整ではなく、どんぴしゃでやるということなんです。つまり玉利=どんぴしゃなんですよ。今の時代は機械も一緒、営業方法も一緒、じゃあどこで儲けるか。これは玉利で儲けるしかないでしょう。釘をいじらないで玉利を儲けられるならば」
統括部長が指摘するように、アケ過ぎ、シメ過ぎを繰り返すことにより、ホールに対する信頼をなくし、ボディーブローのように客離れが起きる。
なによりも客離れを防ぐために必要なことは、一にも二にもホールの信頼回復だ。
この信頼は明らかな出玉の調整方法を避けることだ。特にスタート回数やベースを大きく変えることなく収支を合わせていくことができれば、信頼回復につながる。
「お客様に対する玉利益を下げた結果、お客様一人一人の負担が減り入店客数が増加した。お客様一人一人からの単位時間当たりの粗利益を少なくし、その分稼働、客数を増やし、利益の絶対額を大きくする」と語るのは稼働をアップさせたホールの部長だ。
長引く不況は、一人当たりの可処分所得を年々減少させている。パチンコ台のスランプはきつく、長く遊技しようとしてもお金が続かない。「これだけ遊ばせてもらった」と充足感を得られることもなくなっている。
この両者に共通していっていることは「玉利」という考え方だ。
「この玉利という考え方なしに、これからのパチンコは考えられなくなる、といっても過言ではないと思います。この考え方を少しでも補えができる商品であればと思います」(白石社長)
玉利益=粗利/稼働玉数
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という諺にもあるように、まずは次の項目を他店と比較してみる必要がある。
・設備面、
・競合するホールの商品力(パチンコ台の設置機種)
・営業戦略
これらの条件で勝り、かつ玉利益を極力抑え、稼働を上げる営業を行う。お客も安心してパチンコができる。このイメージも定着させることで、ホール経営も安定してくるのではないだろうか。
「この様な営業を行うのにどうしても必要な道具がどんぴしゃです。発売してから丸々4年以上が過ぎ、多くの人々に、時期があまりにも悪すぎる、と言われ続けながら今日までやってきましたが、どんぴしゃを導入されたホールの方々から、『これからの営業には欠かせないものになる』というようなお褒めの言葉を頂きますと、ほんとうに心強く、励みにもなると思う次第です」(白石社長)
どんぴしゃを活用することで、これまで割が取れずに外していた機械を貴重な戦力になる台に蘇らせているホールがある。
了
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