※このエントリーは、諸事情から数回分をまとめたので、長いエントリーになった。内容も不都合があるかも知れません。その点をご了承願います。
この業界は、同じパチンコと括られている業界でも、メーカー側、ホール側、お客様側、監督官庁側のそれぞれ見る角度が違うと意見も違う、と言う意味で、これまでごちゃごちゃと書いてきた。
ホールで行われる様々なイベントの中でも、特別な景品イベントを例に話を進める。
先日は「塩大福」について多くのコメントやメール等を頂戴致した。
パチンコ店なのだから、そんな景品でお客様を呼ばないで、出玉で勝負するのがパチンコ店だと言う意見も多く頂戴した。
否定的な意見を拝読して思ったことがある。
お客様側の角度から見た意見とホール側から見た意見の温度差。
加えて、お客様の年齢層の差、地域の差、マイホールの差などからくる考えの違いも感じた。
また、業界側の人間でも、立場による温度差も。
その温度差の中で、パチンコと感動の方程式の答えについても温度差を感じた。
その温度差の中で、パチンコと感動の方程式の答えについても温度差を感じた。あの後、私は「感動でお客様を呼ぶ努力」についての意見も多く求められた。
以前にも書いたように、基本的には「答えは一つではない」と言うこと。
他者とは多少の意見の食い違いはあるが、他者を批判する意図は一切ない。
ただあの出来事があった後、私に質問のメールが殺到した都合上、私の意見を述べるだけ。
それも柔らかく意見を述べるので、誤解しないで頂きたい。
誰の意見が正解と言う訳でもない。
現在ホールは1万2000店舗もあるから、各ホールに合う方法はそれだけあると思う。
だから私は「感動でお客様を呼んでもいい」と思うし、それはそのホールの状況の下に置いて自由だと思う。
感動でお客様を呼んでもいいじゃないか!と思うし、その様な戦略を成功させているホールもある。
先日紹介したA様は電話口で「他のホールで感動戦略で成功している例があれば知りたい。他のホールのやり方が気になる」と話す。
これは正に、ホールの企業秘密に当たるノウハウだろう。
それを知りたいと言う欲求は当たり前で、店長以上の役職者なら誰でも知りたい内容だ。
特に競合店が成績をあげている過程なら尚更。
この話しを文章化するのは大変だ。話した方が楽。
それは、理解して頂くには、核心を語る前後には「理解していただくために仕込む話」が大切で、講演などで話す方がライブで真意が伝わる。
しかしこの様に(寄稿)文章にする場合は、その⑧までの様な前置きも大切だ。
以前あるホールが、江頭2:50さんのイベントを行った。
これは強烈なインパクトがあった。10年経っても「江頭が来たホールだ」と地元民の記憶には残っているそうだ。
先日、ロンブーのテレビ番組で、仙台のホールが江頭さんを招いてイベントをしている場面を放映していた。
それを見て、江頭さんの需要はまだあるんだな、と思った。
一方、あるホールは、元〇△◇娘の一人をイベントに招いたが、お客様からはほとんど無視された状態だった。
同じタレントイベントでも、誰を呼ぶかとか、その地域性により成功や失敗があるものだ。
タレントイベントが成功しても、必ずと言っていいほど批判も出る。
「そんなタレントを呼ぶ金があるのなら、その分、玉を出せ!!」と。
タレントではなく、水着コンパニオンでも同様の意見が出る。
何をやっても、パチンコはお金を消費するゲームだから、勝ち負けに関係するお金=出玉に関した意見はつきもの。
この認識の差は、お客様からの目線とホールの目線の違いが大きいが、その温度差をホール側が縮める努力を怠ると、批判が大きくなる。
これに関する話を後でするので、覚えておいて欲しい。
先にも書いたが、塩大福を提供したホールのオーナーは「お客様の喜ぶ顔が見たいだけ」という。
ここにも見る角度によって、認識の差が生まれる。
ある業界関係者(メーカーやホールではない)が、「そんな景品で集客を図る考えは長続きしない」と示唆した。
この意見と、先に書いたオーナーの意見(お客様の喜ぶ顔が見たい)。ここにホール経験の差が現れている。
仕事で地方に行くと、立派な設備のホールなのに、閑古鳥が鳴いているホールがある。
しかし、その近くには古い設備のホールなのに、お客様が大勢いるホールもある。
業界人なら、こんな光景を一度は見たことがあるだろう。
あるチェーン店が、東京へ初進出してきた時、グランドオープンから1週間で稼働は50%。一方の競合既存店は80%の稼働だったりするケースも散見される。
こんなケースも、業界人なら何度も見ているはず。
同じ地で、50年以上も経営しているホール企業は、近くに競合店が進出してきても生きる術を知っている。
そんなホールは、お客様に喜んでもらう(=感動する時もある)ことを商売抜きで実施している場合が多い。
しかし、それを継続する戦略に中で、集客に結びつけるのが上手い。
塩大福も同じ。
塩大福はただの旨い塩大福ではない。
巣鴨のとげぬき地蔵名物の塩大福だから意味がある。
その意味を感じ取れる最大のお客様は高齢者の客層。
特に地方のお客様は、テレビで見たり、噂で聞いていた塩大福を初めて食べる人もいれば、10年ぶりに食べる人もいる。
景品を介して、そんなお客様の笑顔が見られるホールを目指す、オーナーや店長がいるのも事実。
その⑦で書いた【相手に喜んで欲しいと思う気持ち】だが、これは相手全員には伝わらないのだ。
しかし、伝わる人もいる。
ホールは、お客様に喜んで欲しいと思う気持ちを表すために、何か計算の上に立ち企画するイベントがある。
それ以外には、計算なんかしないで、単純にお客様に喜んで欲しいと思うことを自発的に見つけて行うこともある。
関東の繁盛店の景品イベントで「せとか」を販売した。
皆さんは「せとか」を食べたことがあるだろうか?
実に旨い!柑橘系では最高の味だ。
この「せとか」は価格が実に高い!
今年2月、伊勢丹で見たときは、1個250円、525円、840円、1050円だった。大きさなどの等級で価格が変わってくる。
この品種は、パチンコのお客様にはあまり知られていないらしい。
ホールのイベント担当者は、その味に惚れ、お客様にも食べて頂きたいと思い、限定景品に選んだ。
小売価格で500円のものを仕入価格でカウンターに60個出した。
ホールはスーパーも経営しているので、比較的安値で仕入れが可能だ。
カンターに出す前に、スタッフ全員で試食した。
誰もが「今まで食べた柑橘系で一番旨い」と唸った。
カウンターでは、常連さんが食べた感想を話して勧めた。
その場で食べたお客様は追加で購入。家に持ち帰ったお客様は、たびたび来店してまで、追加購入する人気だった。
即日完売。
70歳代のおばあちゃんは、初めて食べた感激話をスタッフや常連仲間に話した。
60歳の主婦も初めて食べて、北海道の両親にも食べさせたいと、ネットで購入して送ってもらったそうだ。
このホールの場合、稼働が好調なため、集客のための企画ではない。
美味しいものが見つけたら友達に教えたくなる。そして、できれば食べてもらいたい。
そんな想いから、年数回行われている食品企画だ。
店長はプライベート旅行でも、お客様のために地元の美味しい品を探しだすのは自然な行為だ。
特に地方のホールのお客様は、東京の様になんでも手に入る環境ではない。
そのホールのお客様は、ホールが提供してくれるから体験できた味も多い。
「店長、来年も取り寄せてな!」と言われるのが喜びにもなっている。
これはこのホールのほんの一例に過ぎない。
東京多摩地区のホールは創業60年になる。
この地で創業し、完全に住民から認められるホールだ。
親子三代で通うお客様もいる。
近くには全国展開するホールがあるが、そのホールが新規開店しても影響は限定的であった。
どうしてそのホールには、熱狂的な固定客が付いているのだろうか?
そのホール企業は優良企業。ホール運営も順調である。
その会社は企画部や業務推進部がしっかりしていて、運営方針は「お客様の笑顔を見よう!」。
利益も上がっているから、集客(売上)目的以外の企画も豊富だ。
オーナーは細かいことには口を挟まない。
従業員がお客様のために考え抜いた企画は、綿密に検討した上で社長に提出した企画なので「NO」とはいわない。
このホール、実は接客は完璧ではない。スタッフによって大きな差がある。
おまけに、早番と遅番の差も大きい。
理由は早番には経験の長いスタッフが多く、遅番は大学生などのアルバイトが多いから。
早番には、シングルマザーも多い。パチンコをやったことのないスタッフもいるくらいだ。
ある女性スタッフに至ってはスロットを見るのは初めて。お客様が500円玉を入れているとマジでそう思ったそうだ。
こんな調子だから、機械の説明が出来ないスタッフもいるし、潜伏の意味も知らないスタッフもいる。
それでもこの店舗は高稼働店だ。
700台余の遊技台は、ゴールデンウィークや年末年始、盆休み、ビックイベントの時は、稼働が90%を優に超える。
このゴールデンウィークの序盤(4月29日~5月1日)も売上好調だ、という。
理由はいくつかある。
この店舗には長年の接客方法にある。
接客は満点ではないが、お客様の話を聞いてくれる風土があるのだ。
店長やマネージャー、カウンターの女性は、暇があれば、お客様の話をトコトン聞く。パチンコに関係ない話や負けた愚痴も聞く。
お客様から機械の遊技説明を求められた際、スタッフが分からない場合はその場で正直に謝り、分かるスタッフに円滑にバトンタッチする。
本来なら全スタッフが機械説明できることに越したことはないが、実際の現場では完全に出来ないのが店長の本音だろう。
店長の理想と現場の本音。これは条件の悪いホールの店長ならジレンマに陥るところだ。
理想とはいえないが、そのホールは欠点を補うだけのチームワークがあると言うことだ。
そのホールにはチューリップ台も存在している。稼働も良い。遊技客のホトンドが年配者だ。
年配者の気持ちをどこまで感じ取れるかも重要な接客の一部でもある。
接客とは、大きな声のあいさつや気持ちが悪くなるほどの笑顔が重要ではない。
お年寄りの気持ち・・・
【あぁ今年も桜の花が見られた。あと何回見られるのかな?】
こんな気持ちを理解できない? 考えたこともない? そんな人間も多い。
このホールには、そんなお年寄りの声が聞けるスタッフが何人もいる。
つづく
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