最近、馴染みにしている居酒屋へ1人入った時だった。
いつも閉店間際に行くので、客はいないのだが、この日はいつもより1時間ほど早かったこともあって2人の先客がいた。
カウンターとテーブル席が1席。10人も入れば一杯のこじんまりした店なので、先客の会話は自然に耳に入ってくる。
会話の中に何度も「パチンコ」というフレーズが出てくる。隣の声の主は20代の若者だった。
若いパチンコファンがいるんだ、と思っていると「雇う」という言葉に反応してしまった。
思わず名刺を渡してこちらの素性を明かした。
「パチンコ日報? 名前は聞いたことがあります! 読んだことはないけど」
彼の職業はパチプロだった。
正確にはスロプロで、スロット8割、パチンコ2割の比率で打っている、という。
朝の開店から閉店まで、およそ12時間は打つ、という。普段はピンで打っているが、たまにウチコを雇うこともある。ただ、その時は2人。
しかし、ウチコを20~30人雇っている親玉も知り合いだ、という。
「真夜中によく電話がかかってきます。『きつい、ウチコを食わすカネがない』と悩みの相談です」
ここからウチコの実情に迫って行く。
ウチコの募集はタウンワーク。時給は800円から。パチンコを打つだけでおカネがもらえる、というところがポイントだ。
時給800円で20人に10時間打たせたとすれば、1日の日当だけで16万円。これに1人1人の遊技代が必要になってくるので、経費だけでも50万円以上が消える。
パチンコであれば2万円以上、スロットなら3~4万円以上出そうな台を選んで初めて打つ。釘は釘師からの情報も入ってくるとか。
全員が負けることはなく、誰かが勝つので、その勝つ人間を増やすということだ。
ところが、親方でも月に100万円も儲かっていな、という。だから、愚痴が出てくるのだろう。
ピンで動いている彼はスロット主体で、関西を広範囲に動いている。
チェーン店のクセ、店長のクセ、店の状況を分析して、設定6が入っていると思われる台で打つ。
「裏モノは嫌い。AT、ARTは打たない。Aタイプが好きで純増2枚あれば十分。荒い台はいらない。固いサラリーマン台がいい」
プロになって1年半。月25日稼動。設定を読んで食うのが仕事だが、さすがに1日中打つのは疲れる、という。

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