パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

テレビ局復活物語

起死回生のパチンコプロジェクト

東京・お台場――かつては観光地として賑わっていて、多くの人が訪れたこの地も、最近ではチャートタウンが閉館したことですっかり活気を失っていた。 特に、海沿いにそびえるテレビ局「ジパングテレビ」自体も広告収入が激減して会社の存続が危ぶまれていた。

「このままじゃ、我々の未来はない……」

経営企画部長の坂本浩司は、会議室で深いため息をついた。 彼の前には、役員たちの悲痛な顔が並んでいる。 かつては業界トップの視聴率を誇っていたジパングテレビも、今やネット動画配信サービスの台頭に押され、地上波の低迷が本格化していた。

「何か起き死回生の策はないのか?」

社長の杉山俊之が声を荒げる。役員たちは顔を見合わせが、誰も妙案を知らない。

「……お台場カジノの件ですが」

「なに?」

「IR権利がなかなか進まない現状では、我々はもっと身近なところで勝負すべきです。例えば……パチンコ店を経営するのはどうですか?」

会議室が静まり返る。テレビ局がパチンコ店を運営? そんな突飛なアイデアが出るとは誰も思っていなかった。

「今パチンコ業界も変革の時代にあります。射幸性の低い遊技機が主流になり、時間制貸し出しのシステムが導入されている最中です。つまり、我々がやるべきことは、今までのギャンブルイメージを覆し、老若男女が楽しめる大衆娯楽としてのパチンコを提供することです」

「しかし、パチンコ業界は規制も多いし、他のホールとの競争もあるだろう?」

「だから、テレビ局の強みを最大限に活かします。我々にはこれまで番組制作で培ってきた沢山のコンテンツを所有しています。人気番組の世界観を再現した台、アニメとのコラボ、さらには視聴者参加型のイベントなど、店内では今までにない形の映え空間を作ります」

確かに、従来のパチンコホールとは違うアプローチなら、新たな客層を呼び込めないかもしれない。

「具体的な計画は?」

「お台場の社屋の一部を改装し、『エンターテインメントパーク』としてオープンさせます。一般のパチンコホールとは一線を画し、『遊べるテーマパーク』として展開します。例えば、『ミックスゾーン』では、過去の名物番組をテーマにしたパチンコ台を設置します。『アニメゾーン』では、我々の制作するアニメとタイアップした新機種を設置します。さらに『お笑いライブゾーン』を併設し、芸人がステージでパフォーマンスすることで、従来のパチンコ店とは異なる空間を演出します」

「なるほど……」

社長の杉山は腕を組んだ考えでいたが、ゆっくりと口を開いた。

「やってみる価値はあるかもしれないな」

こうして、前代未聞のテレビ局直営パチンコホールプロジェクトが始動した。
________________________________________

オープンへの道

開業準備は想像以上に大変だった。 まず、パチンコ店の運営には各種許可が必要だ。

次に、肝心の遊技機の開発には一番時間を要した。坂本は業界の大手メーカー数社と話し合って、テレビ局ならではの特別仕様の台を作る契約を取り付けた。

これがメーカーにとっては渡りに船だった。メーカーとしてもジパングテレビが持っている数々の版権は喉から手が出るほど欲しいものだった。交渉の結果、一般販売用にも転用できるようになった。

目玉となる遊技機開発で特に力を入れたのは、かつて同局で放送されていた伝説のテレビ番組「白象団」のパンチコ化だった。

これは、人気絶頂のお笑いコンビをMCに起用した恋愛バラエティー番組だった。告白タイムで大どんでん返しがあり、出演者が予測不能な展開に巻き込まれたりする、「何でもあり」の番組だった。

また、ホールの内装にもこだわった。従来のパチンコ店のスロットコーナーの暗くて雑然とした雰囲気ではなく、明るいポップなデザインを採用した。

計画から3年、まったく新しい形のパチンコホール「ジパングテレビ・エンターテイメントパーク」は、グランドオープンの日を迎えた。
________________________________________

開業初日

グランドオープン当日、予想を超える数の客が押し寄せた。テレビ局が仕掛けた新感覚のパチンコホールに、パチンコをやったことがない若い女性が押しかけ、急きょ、ゆりかもめが増発したほどだった。

「わ~すごい!本当にテーマパークみたいね!」

「カオスTVの台、演出がヤバすぎる! 起こるかわからん!」

「芸人のステージ見ながらパチンコができるなんて最高ね!」

テレビニュースになったのは当然で、SNSで忽ち拡散され、話題になるのに時間はかからなかった。オープン後も全国各地から観光がてらに訪れる人たちもとも相まって、客足が途絶えることはなかった。

坂本は活気づく店内を見渡しながら、静かに微笑んだ。

「これが、テレビの新しい未来だ」

その夜、坂本は久々に心からの安堵感を感じながら、お台場の夜景を眺めた。依然とテレビ業界は厳しい状況である。しかし、考え方を変えれば、新しい道が見えてくる。 ジパングテレビの挑戦は、テレビ局の枠を離れ、まだ始まったばかりだった。



人気ブログランキングへあなたのポチっ♪が業界を変える

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。

同じテーマの記事