無料でグリーン車に乗れることから、早くも乗客のマナーが問われ、喧嘩に発展するケースも起こっている。
例えば隣に他人を座らせたくない心理が働き、荷物を置いて他の人が座れないようにするケースが散見される。特に2階席は荷物を置く棚がないために、大きい荷物は座席に置くか、通路しかない。通路に置けば完全に通行の妨げになってしまう。
ある日の夜、四谷から乗ってきた少し酒が入った中年男が、荷物を置いている人に「空いていますか?」と声を掛けた。ところが、声を掛けられた男がこれを完全無視してしまった。
酒が入っている中年男は「無視するな!」と一喝。「これはお前の鞄じゃないんだな」と言葉をつづけた。
すると無視を決め込んでいた男は「俺のだ!」と応じた。
鞄をどけて席を空けろと口論に発展した。すると、第三者が仲裁に入ると共に、咄嗟に「非常ボタンは押さないで!」と大声を挙げた。
車内でトラブルが起きると、中には非常ボタンを押して列車を止めてしまうケースがある。一度電車を止めると簡単には運行を再開できない。みんな帰宅を急いでいるので、そんなことにならないようにする配慮だった。
そのほか、グリーン車で弁当を広げビールを飲んでいる客に対して、「これは通勤電車なんだから弁当なんかくんじゃねえ。無料だから食ってんだろう。この田舎者が!」と喧嘩を吹っかけられたりする。
前振りが長くなったが、ここからが業界にまつわる本題だ。
グリーン車内で加熱式たばこを吸っている若い客に対して周りの客が注意した。すると「加熱式たばこは吸ってもいいんですよ。うちの会社や店では加熱式たばこをOKにしています」と応じた。
この反論に「お前、パチンコ店の従業員だろう。お前の低俗な店ではOKでも、JRはダメなんだよ! お前、何勘違いしているんだ」と詰められると相手は黙り込んでしまった。
この一部始終を目撃していた業界関係者がとある駅で降車した彼に声を掛けた。ホール企業に勤めていると確信して、やまかんで、具体的ホール名を上げ、「〇〇〇〇の人だよね」と呼び掛けると「はい」と応じた。
これがビンゴだった。
「オレ、業界人なんだよ。めし、おごるからちょっと話を聞かせてくれない?」
店に入って30分ほど話した。
新卒入社だった。年齢は20代後半。
普通の会社の一般常識が学べないことにギャップを感じていた。会社から教わるのは接客だが、それは一般常識とは異なる。
社会人になって一般常識が学べていない自分を恥じた。ホールという小さい社会に閉じこもっていたら、自店の常識を当てはめて、こんなことになってしまう。

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