実際、4月から俳優の柴咲コウを起用したKIBUN PACHI -PACHI委員会のテレビCMが流れたのを皮切りに個別のメーカーのCMも確かに流れたが、パチンコのCMがテレビを席巻するほど流れたかと言えば否だった。
「広告代理店が予測したパチンコメーカーの広告出稿量を改めてすり合わせをしていますが、予測した数字の半分も流れていませんよ」(テレビ局営業)というように残念な結果に終わっている。
広告代理店の甘言に淡い期待は持っていたものの、営業の立場でありながらパチンコのCMについてはずっと疑問を持ち続けていた。
「実際、広告効果が薄い空き時間のスポット広告も多かったのですが、一般的な消費する商品のCMと比べてもパチンコはCMを流したからと言って、ホールさんが余計に台を追加で買ってくれるわけでもない。パチンコメーカーのCMを流す気持ちが分かりません」
パチンコのテレビCMは、それを見たユーザーがホールへ足を運ぶ。そういう意味ではホールの営業支援を側面からサポートする役割がテレビCMとも言われている。
それよりも、パチンコのテレビCM出稿が予測を裏切ったのは、ひとえにスマパチの不振だろう。今やスマパチへ1パチコーナーへ追いやられているホールもあるが、1パチでも客は付いていない。
スマパチに関してはホールもユーザーもお祭り状態にはならなかった。となれば、大々的にテレビCMを打つ気も萎えるというもの。それでなくても販売台数は落ち込み、経費削減に躍起になっている状態で、販売台数に直結しないテレビCMは控えようということになる。
少し話は変るが、このテレビ局の関係者はパチンコの客層と週刊ポストと週刊現代の客層がダブって見える、という。

その心は共に中心客層は高齢者。週刊誌の方の特集は今や健康問題ばかり。サラリーマン時代にヌード写真目当てで買っていた層がそのまま年金生活者になっている。若い読者層は一切育っていないのがパチンコとも似ている。
話しは少年ジャンプへと飛ぶ。少年サンデーや少年マガジンから10年以上後発のジャンプは、大御所の先生には書いてもらうことができず、新人を育てることになったのだが、ジャンプが業界で最初に採用したのがアンケートはがき。歴代の編集長の格言は「読者の声をよく聞け」。それによって読者がつまらないと判断した作品は即打ち切りとなり、それによってクオリティーの高い作品が生まれる土壌となった。こうして生まれたのがONE-PIECEだった。
「パチンコメーカーはユーザーの声をどのようにして聞いて、どのように活かしているのかを知りたい。ユーザーの声を最大限に反映したパチンコ台が出るのなら密着取材したい」(テレビ局関係者)
ユーザーやホールの声を聞いていたら、バカでかいおもちゃ筐体は作らない、というのがその答えだ。
メーカーの変な意地とプライドが業界を悪くしている。

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