元々、串カツの街として、串カツ屋が増殖する中、今度は新たな新世界名物として、射的場が急速に拡大していることに驚かされる。
1年前取材した時は3店舗だったものが、しばらく来ないうちに8店舗に増えていた。設備投資が安いことに加え、間口一軒の狭小スペースでも開業できるメリットがあるからだろう。

この射的場ブームは道頓堀でもさらに店舗が増えているが、京都・新京極商店街にもオープンしていた。こちらはインバウンド客も射的に興じていた。

道頓堀で最初に射的場をオープンさせた店長は射的ブームを次のように話す。
「7発で500円です。観光客はもちろんのこと地元のリピーターさんも結構いらっしゃいます。朝帰りのホストグループ、昼間は観光客、夜はキャバ嬢やサラリーマンが飲みに出た勢いでやられます。欧米人から東南アジアと国籍も年代も幅広く利用していただいています。昼間から撃ち始め夜9時まで撃ったのは30代の男性でした。北海道から毎月来てくれる20代の女性客もいます。大阪名物と言えばタコ焼きでしたが、今後は大阪名物、射的といわれるように大阪を盛り上げたいですね」と話す。ブームは1年で去るどころか、射的場はどんどん増殖しており、その言葉通りの展開になっている。
レトロな射的がなぜ、これだけ人気なのか? その理由の一つがSNSだった。射的する姿をSNSに上げたり、有名ユーチューバーが動画で紹介することで、どんどん拡散されていく。
新世界という街は元々昭和レトロな場所なので、射的場も違和感なく、溶け込んでいる。昭和レトロと言えば、新世界名物とも言えるスマートボールだろう。この日の店内はフル稼働の満台状態で、こんなに賑わっているのは観たことがない。

細々とスマートボールの灯を絶やすことなく、営業を続けてきたご褒美であろう。
スマートボール店の対面には「ニュー三共」が2014年まで営業していた。ここはまさにザ・昭和のパチンコ店で電役機を中心にみなし機のオンパレードだった。カウンターに鎮座した手動の玉貸し機は、昭和40年代の代物だった。

認定・検定切れの機械が今でもあの時の状態で打てたら、これはパチンコが見直されたきっかけになったかも知れないだけに残念だ。

観光客に支えられている側面もあるが、射的にしてもスマートボールにしても大衆娯楽の原点。敷居の低さ、子供でも分かる単純明快さ。これらをすべて忘れ去ってしまったのが今のパチンコともいえよう。

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