ホールの2代目が異業種展開を検討する中で、中堅の運送会社を買収した。その理由が気になるところだが、イオンがAIとロボットを活用した24時間稼働のネットスーパーに本格進出する、というニュースに触発されたものだった。
イオンが目指す次世代ネットスーパーは、住まいの最寄りの店舗から配達する従来の方式から、国内では初となる中央集約型倉庫から発送される。フルフィルメントセンター(小売注文が処理およびフルフィルメントされる物理的な場所)の中に、約5万品目の商品が取り揃えられる。
倉庫の中では、AIとロボットが活躍する。顧客から注文を受けたら、在庫からそれらのアイテムをロボットが探し出し、梱包して、運送会社に引き渡す。24時間稼働に加え、より効率的なピックアップを実現する。次世代ネットスーパーは、今後Amazonが最大の競合となることが予想されている。
問題はネットで注文した商品を最終的に顧客の下へ届けるのは、どうしても人手が必要になる。そこで運送会社に着目したわけだ。イオンの仕事が取れれば万々歳だ。
運送会社は買収したものの、ドライバー不足は否めない。そこでドライバーの募集も同時に行っているのだが、ここで逆転現象が発生した。何と、ドライバーの時給の方が、ホールスタッフの時給よりも160円も高くなってしまったことだ。本業の時給を凌駕してしまっていることをオーナーは嘆いている。
アメリカの運送大手が賃上げを要求したドライバーのストライキから経営が行き詰る問題も発生している。ただでさえドライバー不足が続いている中で、運送会社は買収したものの人手不足が解消できなければ、何をしているのか分からなくなる。
失敗しても痛くないレベルから始めたとは言うが、高齢化が進む運送業界は、ドライバーもよほど時給を上げないと確保が難しい。何故なら都会ではタクシードライバーの方が、給料がいいからだ。タクシー運賃の値上げに加え、インバウンド需要・猛暑などの外的要因で、今年の春先に比べ、今夏は7万円も給料が上がっているケースもある。タクシー業界だってドライバー不足から稼働していないタクシーがあるので、絶えずドライバーを募集している。
かつて、万年人手不足が続くパチンコ業界で、人材派遣会社が隆盛を極めた時期があったように、ドライバーの人材派遣会社をやった方が儲かるかも?

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