「4パチは客がいないので、勝てる気がしない。それで1パチが流行っている隣町の店まで来るようになった。1パチは客がいるので勝てる。4パチは1勝9敗だったが、1パチなら4勝6敗ぐらいになった。最も勝てても2000~3000円だけどね」
1日の農作業を終えて、1~2時間遊んで、勝っても負けても数千円。1パチで大勝ちすることはないが、それでもAさんはパチンコで遊べたことに満足している。
これが本来の娯楽としてパチンコを楽しむ姿だろう。そして、政府としてもそこに引き戻そうとしている。
勝っても負けても数千円。このレベルはまさにフィーバーが登場する以前のパチンコの姿である。
ハードランディングで一気にここまで戻すと業界が大混乱を来すために、出玉規制で3分の2までに抑え、4時間打っても5万円以上勝てる機械は作れないようにしているが、フィーバー前の状態になれば、ホール経営のうま味はない。
フィーバー以前はホールを息子に継がせるオーナーは少なかった。高等教育を受けさせて医者や大学教授にさせるケースもあった。それがフィーバーの登場で儲かる商売に一変したことから、外へ出ていた息子たちが次々に呼び戻された。
2世経営者は儲かっていたからホール経営をやる。儲からなくなれば止める。そんな発想からなのか、大型店で繁盛店を連発させていた有名どころのホール企業のM&Aが顕在化している。弱小店舗が身売りするのとは訳が違う。今が高値で売れるタイミングということなのだろうか。
ホール経営者の意識は確実に変化してきている。その一方でメーカーは何を考えているのか?
「ホールが機械を買えない、という声を営業が上げてきます。機械代で5万円ぐらいなら圧縮することはできるが、まだ先の話ですね。このまま行けば売り上げも10~15%の割合で年々下がり続けるかも知れません。いずれ、安い台を開発しないと売れない時代が訪れるでしょう。20万円台の機械を開発することはできますが、経営陣はそんなことはしません。販売台数が下がる中で利益を確保しなければならないからです」(大手メーカー関係者)
メーカーとしてもジレンマに陥っている。巨大になりすぎた組織を維持するには安い機械を販売することはできない。
価格を下げたくないのなら、せめて遊技人口のすそ野が広がる機械を出してくれたら、ホールも文句はないだろう。
勝っても負けても数千円。こんな機械で遊技人口が3000万人に戻れば万々歳だ。

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