業界にそのまま骨を埋めるつもりだったが、業界を去る理由が子供のいじめだった、という。
子供が友達からお前の父ちゃんは何しているのか、と聞かれ、「パチンコ店の店長」と答えたことをきっかけにいじめられるようになった。
自分の職業で子供がいじめられることに悩んだ。
貯蓄もある程度あった。奥さんの後押しもあったことから、独立開業の道を進んだ。
おにぎりは1個100円~110円。1本65円の団子なども売っている。
おにぎり屋を始めて1年あまりが過ぎた。
1日の売り上げは平均して3万円。雨の日は極端に売り上げが下がり、1万円ほどに落ち込む。天候に左右されやすい。
おにぎりを1個売って儲けは60円ほど。
10円単位の商売を経験したことがなかったので、おカネの大切さが身に染みて分かる今日この頃。家賃を払って何とか食べていけるレベルではあるが、この1年間やってみて、3万円の売り上げが倍になるような商売であることも分かった。
店長をしている頃は、お客さんの顔が1万円札に見えた。
食べ物商売は腹一杯になればそれ以上は食べられないので、売り上げに限界がある。客単価は決まっているが、パチンコは射幸性によって、はじめは1万円のつもりが、負けるに従ってもう1万円、もう1万円とおカネをつぎ込んで客単価が上がって行く商売である。
元部下に会って今の心境を話したことがある。
「10円の商売をやったことがなかったが、10円感覚でホール運営をしていたら、もっと業界は変わる。おにぎり屋はひとときも手が抜けないが、どんなに頑張っても売り上げは倍以上にはならない。ホールにいる頃は、雨が降ったら売り上げが落ちる心配をすることもなかったが、今は雨対策も考えなければならない」
店長時代は1円のお客を下に見ていた。だから、1パチのお客さんから「新台を入れて欲しい」という声があっても聞き流し、1パチに新台を入れることをしなかった。
「1パチのお客さんがいなくなるということは、4円のお客さんもいなくなるということ。1円のお客さんをつなぎとめる努力をもっとしなさい」と元部下たちに話した。
おにぎり屋の客単価は300~400円。1パチのお客さんでもおにぎり屋からすると沢山おカネを使っているお客さんである。
1円は売り上げが上がらないからと、むやみに釘を閉めすぎると、そして誰もいなくなる。

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