「小手先では変革はできない。商売とはお客さんの信用をどうやって勝ち取るかだ。集客にイベントが手っ取り早かったが、ガセイベントでお客さんをバカにして来た。その反動が来ている。昔はチラシもイベントもなしで集客を図って来た」と話すのは70代のコンサルタントだ。
イベントが禁止され集客に頭を悩ます店長が多くなった今だからこそ、老コンサルタントの手法が再び注目されている。
「私が業界に入った時代は、むしろ、貧困の時代ともいえる。客はヤクザやチンピラが幅を利かせていた。こうした時代の修羅場をかいくぐり、突破してきた。この時学んだことは信頼だった。その時代を経験した者からすると小手先で商売はできないのに、それがまかり通っていた。その小手先を教えるコンサル会社がもてはやされた。事務所でコンピュータの数字ばかり見て、お客さんの顔色は一切見ない。顔色を見ないことが大きな間違い」
では、どのような営業方法を取っていたかというと実に営業とは直接関係のないようなことばかりを積み重ねてきた。
北陸の米どころでホール経営していた頃は、農繁期には稲刈りを手伝ったり、地域の祭りに参加したり、心筋梗塞で倒れたお客さんの見舞いに駆け付けた。店の外でも顧客とのつながりがあった。
「地域一番店になると競合店のやっかみで『遠隔をしている』とチクられ、警察の捜査を受けましたが、もちろん何も出ません。私は頭と腕とハートで集客していた」
今の若い店長からすると、さぞかし面倒くさいことをしている、と感じることだろう。
「コンピュータメーカーが『データ、データ』で人の気持ちが分からない業界にさせてしまった」と前置きした後、さらにこう続ける。
「アカ、クロしか出ない時代は現場主義だった。お客さんの視線、顔色を捉えることが情報だった。今の情報に欠けているのはここ。データからはお客さんの顔色は読み取れない。扉を開ければ現場があるのに、その扉を開けずにデータばかりを見ている」
地域や大手の店舗と弱小のホールでは客層は違うものだが、例えばスタートを全台6回に合わせるような風潮があった。
「差別をしてはいけないが、区別はしなければいけない。体感的に5回転でも満足してのなら、6回転にする必要はない。データで物事を推し量ることしかしない。客側の心理に立っていない。お客さんの安らぎのためにパチンコはあったのに、データ病が業界に蔓延してから、粗利と稼働ばかりに目を向けてきた。お客さんの顔も思い浮かべないで利益を抜いてきた。バカヤローといいたい。お客さんをこの10数年ないがしろにして来たツケが今来ている」
頭と腕とハートで集客してきた手法が来春から再スタートを切る。
あなたのポチっ♪が業界を変える
※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。