「玉がかりしないように調整しているの?」
これは絶対に鎌を掛けられている…
どう答えよう…
毎日調整していることは間違いない。だから警察にウソはつけない。かといって「調整しています」といえば、会社に迷惑をかけることにもなる。全店の営業許可の取り消しにもつながりかねない。
釘調整は一番デリケートな存在だ。しかし、警察もホールが毎日調整していることを知っていながら、これ、全国を摘発したら大変な労力を要する。
ダイナムは香港市場へ上場するときに、警察が違法とする釘調整については「メンテナンス」という言葉で違法性をかわした。
警察が求めるのはメーカー出荷時のままで営業しろ、ということだ。
そこで、ダイナムは日々の営業で稼働することで、玉が釘に当たり徐々に曲がってくる。それを出荷時の状態に戻すためのメンテナンスであって、出玉率をコントロールするものではない、という論理だ。
前出の店長は会社から、警察から釘調整に関する質問を受けた場合の想定問答の教育を受けていなかった。
かといって同僚の店長に聞くことも憚られた。
それは「そんなことも知らないのか」と思われるのが怖かったためだ。
釘がらみでこんな事件が起こった。
ある台を打っていた客の台が、命釘に玉がかりした。
客は呼び出しボタンを押した。
従業員が対応に来た。
ガラスを開けて、引っかかっていた玉を命釘に入れた時に、釘が根元からポロリと折れてしまったのだ。
その台で客は遊技を続行することができなくなった。
客はその台に結構おカネをつぎ込んでいた。続行できなくなったのは、従業員が玉を命釘に入れたから「従業員が釘を折った。補償しろ」と騒ぎ始めた。
釘は金属疲労で折れることは、たまにあることだ。
ホール側としてはそれを理由に補償することはできない。
互いの言い分がかみ合わない。
埒が明かないので客はとうとう110番した。
すると所轄から2人の警察官が来た。
警察は事情を聞いたが、民事不介入で、「お互いに話し合って下さい」。
客は店からも補償してもらうことができず「警察はいざとなれば役に立たない!」と憤懣だけが残った。
ある組合では善意の第三者がゴト器具が仕込まれた台で玉を出した場合の対処方法を検討していた。ゴト師なら玉を全没収するところだが、善意の第三者の場合は、法律事務所と相談した結果、使った遊技金額だけを返金することになった。
その場合、ちゃんと紙に書いてその旨を貼り出す必要がある。
釘折れで遊技が続行できなくなった場合は、それまで使った金額は返金するのが妥当のようだ。

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