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CD哀歌

パチンコ景品で永遠のベストセラーといえば、タバコだ。戦後、パチンコ店が復活した時から、パチンコの景品はタバコだった。



3店方式が確立される以前、店の外で客からタバコを買い取るヤクザが現われ、買い取ったタバコをホールに卸すようになった。そういう意味で特殊景品の原点はタバコだったともいえる。



時代の変化と共に、パチンコ景品にもニューカマーが現われる。その代表格がCDだ。



CDがパチンコ店の景品として扱われるようになって20年以上が経過した。一番CDが景品として出ていた時期といえば、宇多田ヒカルが1998年12月「Automatic/time will tell」で鮮烈デビューころだった。



99年3月に発売した1作目のアルバム「First Love」は、アルバムでありながら860万枚以上も売れた。



同時期、モデルから浜崎あゆみが歌手デビュー。たちまち女子高生のカリスマといわれるようになった。小室哲哉プロデュースの安室奈美恵も全盛期で、景品としてのCDも飛ぶように売れた。



「今の20倍は売れました。1週間に1回はホールへ補填に行くのですが、少ない店でも1週間に30~40枚、大型店ともなると100枚以上は売れていました」と話すのは元景品業者。



CDを扱う業者はほぼ独占状態。全国各地に取り引き先が増えた。どれだけ大きい市場だったかが、容易に想像が付く。



売れるにはそれなりの理由があった。



「録音して、すぐに中古CD屋さんに売りに行っていましたからね。だから売れたんです」



当時、ホールから50万円相当のCDが盗まれる事件が相次いで起こった。これも中古市場に売り飛ばすためだ。新譜なら半額で売れたためでもある。



時は流れ、音楽はCDを買ったり、借りたりするよりも、ダウンロードして聴く時代になった。



加えて、パチンコの換金が等価になったことで、一般景品が出なくなったことなどの理由から、パチンコ店の景品としてCDの人気もなくなった。



それでも、ホールからのCDの需要はある。



なぜか?



「CDはコンパクトに置けて場所も取らない。腐らない。衣類はタバコの臭いなどが付いて売れ残りは商品価値もなくなりますが、CDは臭い移りの心配もない。つまり管理が楽。何よりも品揃えとしての景品点数を稼げるからです」(同)



つまり、景品業者からすればCDは売れることもなく、品数合わせのためだけに使われているということだ。



ということは、一世を風靡したCDも、まったく利益を生まない数合わせの景品に成り下がってしまった、ということだ。



嗚呼、CD哀歌。





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