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ぱちんこ情熱リーグ決勝戦 アロー浪速店編

しんがりは予選通過最高得点をたたき出した大阪市の「アロー浪速店」。



1200台の大型店で、スタッフは120名。自他共に認める市内でも有数の高稼働店である。



「アロー浪速店の接客はずっとよかったと思っているでしょうが、それは間違いです」とオープニングは麻生店長の衝撃の告白から始まった。



アローチェーン22店舗中、社内の接客順位は21位。ワースト2位だった。そんな状況での情熱リーグ参加に麻生店長は心の中でこう叫んだ。



「社長! ナゼうちなんですか?」

「社長! この順位をご存知ですか?」

「社長! 勘弁していただけませんか」

情熱リーグに参加するに当たり最初に着手したのが、協力を求めるためにスタッフ100人以上との個人面談だった。100人以上の大所帯だと顔と名前が一致しないスタッフもいた。



個人面談をしてみると提案を秘めているスタッフも一人や二人ではなかった。改善提案を個人から聞くことで現場の奥深いところが見えてきた。



朝礼から変えることにした。本気じゃんけんから始めた。



朝から元気を出していく。常に周りに感謝することをコンセプトにした。



毎日行われている大声を出しての社訓の唱和が舞台で繰り広げられた。あまりにも大きな声なので何をいっているのか聞き取れない。



ただ、唱和の中で必ず「ありがとう」という言葉が出てくる。常に感謝の気持ちを持って接客することをコンセプトに、皆の気持ちを一つにしてホールに出て行く。一丸となった気持ちは唱和以外にも発展していった。

接客の目標設定は「お客様から笑顔をいただく」。

パチンコ業界でお客から笑顔をもらうのは難しいと思われていたが、自分たちの笑顔が足らないことに気づいた。自分たちが満面の笑顔を続けるために、終礼で笑顔のエピソードを発表するようにした。



「取り組の中で、あることに気づきました。満面の笑みでお客様から笑顔をもらったときが本当にうれしい。これが接客というものなのだと」



スマイルボックスを設置し、お客から笑顔をもらったエピソードは増え続けている。



情熱リーグに参加するに当たってスタッフからの思いの丈が発表された。



「自分は元々笑顔の接客が好きでした。でも、アロー浪速店には笑顔のないスタッフばかり。情熱リーグが本格的に動き出した時、徐々に自分と同じ気持ちのスタッフが増えてきて、店は一変しました。目茶目茶うれしかった。やっと自分の気持ちが伝わった。今ではスタッフ1人1人がどうやったらお客様から笑顔がもらえるかを考えています。この店はもっと変われる。自分の力で変えたろうやないか!」



2番バッターは「100名のスタッフを代表して店長に一言いいたい」と大上段に構えた。最初は情熱リーグには参加したくないとの思いが強かったからだ。



「毎日高稼働の店で忙しい中、笑顔の接客なんかスタッフ全員が無理だと思っていた。情熱リーグなんか止めたらいいと毎日思っていた。

店長、あんたはスタッフ全員と面談するとか言い出した。いつものように途中で投げ出し、絶対最後まで100人の面談なんかできないと思っていたが、最後までやりきりはった。

つばを飛ばしながらスタッフに熱く語る姿を見て、俺も本気になった俺の力で日本一の店長にしたる、と本気で思った。

店長に教えられたことが2つある。何でもやればできること。努力すれば必ず実を結ぶこと。俺は絶対忘れへん。店長のお陰で皆が変われた。店長本当にありがとうございました。

最後に、あんたも店長ならもっとホールに出なはれ!」



スタッフの中には2月にアロー浪速店を卒業する人もいた。

「私は情熱リーグを通して、アロー浪速店が一丸になれたことが一番うれしいです。最初の頃は自分には関係ないと思っているスタッフもいました。店長が社員やアルバイトリーダーを巻き込み、やがてスタッフ1人1人が周りのスタッフをフォローすることで店は劇的に変わりました。4年間お世話になったアロー浪速店を今月卒業します。目指していた保育士の道へ進むためです。アロー浪速店で働けたことを誇りに思い、感謝します。店を変えるきっかけを作ってくれた情熱リーグ、店長、上司、スタッフに感謝します」



業界12年のスタッフは「パチンコ店で働いていることが親にバレて辞めたスタッフがいました。そのスタッフは頑張り屋でパチンコ店で働くことが好きでした。それだけにこの仕事は親にすらいえない恥ずかしい仕事なのか、と悔しさと怒りがこみ上げてきました。

でも、今はいえます。もっと誇りと自信を持て、と。それだけ汗を流す努力をしてきたからです。これだけがいいたくてここに来ました」



再び麻生店長が登場。



「不安からスタートした情熱リーグ。社内から聞こえてくる声は無理、厳しい、難しい。『今に見とれ、お前ら。浪速アローを舐めんなよ』とはいうものの、現実は変わらないスタッフ、理解できずに去っていくスタッフたち。諦めたらそこで試合終了、と言い聞かせました。

少しずつ変化を感じるようになったのは、『情熱リーグの取り組みは絶対途中で止めないでください。必ず最後までやり遂げましょう』というスタッフが出てきたことです。

接客は二の次だったアロー浪速店が変わり始めました。

人は変われる。これは私の信条です。100名を超える大所帯で自分を変えようとしたスタッフ。風土改革の夢物語が今現実になろうとしています。本当に夢のような光景ですが、風土改革はまだ終わっていません。

アロー浪速店のスタッフは毎日こういっています。『やればできる』。このことを証明してくれたアロー浪速店のスタッフたちを誇りに思います」



接客は二の次でも高稼働を維持していたホールが本気になったとき、この先どう進化していくのか興味は尽きない。



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