本題に入る前に劇団四季を少々紹介してみたい。
今、芸能界で活躍している俳優の中には、「え、そうなんだ」と思う元劇団四季の俳優が多いのも事実だ。
「石坂浩二」はかつて劇団四季の演出部に所属していたことがある。
篠原涼子のご主人で、テレビドラマに数多く出演している「市村正親」。
市村は劇団四季のトップ俳優であった。
オペラ座の怪人の日本初演の時のファントム役は市村。
その他には「榎本孝明」「大和田伸也」「川崎麻世」「滝田栄」、伊藤みどりの元夫の「八巻大」、CR料理の鉄人に出ている「鹿賀丈史」。
研究生だった「原日出子」。
そしてここ数年の間にも、劇団四季のトップ俳優が何人も退団している。
しかし、それでも劇団四季のレベルは落ちないのだ。
その理由は何か?
それは今日の表題「公演の品質保証とホールの品質保証」の要について書くので、それを読めば理解できると思う。
現在、劇団四季の俳優は700人。これでも足りない。
10年以上前に入団した俳優で、同期が残っているのは3人。
今年のオーディションで合格したのは36人。10年後に残るのは1割だろう。
劇団四季は常に新しい人材を育てている。
劇団内の競争は本当に凄まじいのだ。
詳細は書けないが、かつての私の彼女は、劇団四季のオーディションを受け研究生として舞台女優の人生を歩み始めた。10数年前のことだった。
今も在籍していて舞台に上がっている。
その彼女から聞いた厳しい内容がこれだ。
入団と同時に「ゴールの無い試合に参加することになる」という。
しかし、ゴールが突然訪れる事もある。
それは「クビ」だ。
劇団四季は俳優と年間契約をしている。ある日「次の契約はない」と宣告を受ける。
プロの世界はどこでも厳しいのだ。
クビにならないで残ることができても、ゴールの無い練習の日々が永遠とつづく。
でも、これは俳優にとっては幸せなのだ。好きな舞台だけで飯が食えるから。
しかも、多くの人々に感動と夢と生きる力を与えられる。
感動を伝えるには、日々の練習は欠かせない。
今日の舞台は成功だったと思うのではなく、今日の舞台で直さなければならない所はどこかを探す日々だ。
カンブリア宮殿の中で、演出家でもある浅利慶太から注意を受けていた男女の俳優がいたのを記憶されている読者もいるだろう。
男性は劇団四季の中ではトップクラスで、芸大出身の実力者である。
彼はオペラ座の怪人の主役も務められるほど。
注意を受けた彼は「ずっとやっていると、垢が付いてくる。その垢を取ってシンプルにもう1回、元に戻す」と素直に応じる。
浅利代表の言葉に次のものがある。
※【人間は慣れると崩れる】
※【1000回やって飽きるんだったら役者なんか辞めろ!】
劇団四季の稽古場には昔からこの言葉が掲げられている。
※【慣れ・だれ・崩れ=去れ】
※【一音落とす者は、去れ!】
これは番組の中でも紹介された言葉だ。
※印4点は、ホールの管理職が部下を指導する上でそのまんま役立つ。
それぞれのホールで、アレンジすればいい。
話を戻す。
飛び抜けた才能がない場合、アンサンブルに採用されて頑張る。その間も練習を重ね、上のステージ(役)を目指す。
朝から昼すぎまでは定番の発声とバレエの練習をする。そのあとは、自主練習になる。
主役の座を射止めた俳優でも、公演前には深夜まで自主練習をするのが当たり前。
木戸銭は3000円から9800円だが、俳優が骨身を削りながら舞台に上がっている事を知れば、決して高くないと思う。
アンサンブルでも準主役でも、翌日は降ろされることがよくある。
実力だけの世界だ。
俳優はベテランでも新人でも練習量は同じと考えてもいい。
その理由は役を与えられた俳優でも、いつ降ろされるか分からない。劇団内には熾烈な競争システムがあるからだ。
新人採用のオーディションと同様に、今度は配役を掴むための劇団四季内でのオーディションがあるのだ。
正式に俳優になってからでも、実力で役を掴まなければならない。
俳優=ホールスタッフ
ホール=舞台
こう考えると本日のエントリー表題「公演の品質保証とホールの品質保証」の意味が分かって頂けるだろう。
つづく
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ホール運営の参考にしたい劇団四季の手法・・・その④公演の品質保証とホールの品質保証
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