大手の導入実績で証明された電気代の30%削減と2年償却
電気の基本料金は1年間で一番電気を使う瞬間最大電力(デマンド値)を基準に決められるわけだが、その最大値を下げて基本料金を下げるだけでなく、月々の電気代も下げる、というのがデマンドコントロールの考え方だ。
パチンコ店内で一番電気を使うのは、エアコンの動力系で、エアコンの室外機の動きを制御して、電気代を落とす方法が主流だ。このデマンドコントローラーは各社から販売されているのだが、業界はアレルギーを感じている。
例えば、ホールにたくさん取り付けられている室外機を1台ずつ順番に自動的に止める方法がある。一定時間、室外機が止まっているから電気代が落ちる、という原理だ。
ところが、この方法だと室外機が止まっているエアコンは送風状態になる。その部分のお客さんは不快感を感じることがある。さらに、止まっている隣のエアコンが室内温度を保とうと頑張って出力を上げるので、プラスマイナス0になったりするケースもある。加えて、室外機を頻繁にオン、オフすることは、通常運転よりも電気代のかかる起動電力が増えてしまうことにもつながり、思いのほか電力が下がらないケースがあったり、機器の故障の原因にもつながる可能性がある。
原理的には電気代が下がることになるのだが、期待したほどの効果が現れないケースもあったので、業界にはデマコンアレルギーが蔓延していた。
大手ホールともなると店舗数が多いため、電気代を削減することはコスト削減の中でも大命題だ。その一環で、こんな難題をエアコンメーカーにぶつけてきた。
・電気代30%削減
・それでいて室内の快適性は保つ
・デマコンの償却期間は2年
この難題をエアコンメーカーから紹介を受け、これまでにない方法で解決したのがHR社のエコミラAIRだ。
「冷媒が走るスピードを遅くしてエコ運転させる方法を考え出しました。車でも120キロのスピードで走るよりも、60キロで走った方が燃費がよくなるのと同じ原理です。フル運転を100%とすれば、70%以上で運転しないように自動制御でインバーターの周波数を下げているのがエコミラです。常に冷風が出ているので不快に感じるお客様もいません」
ホールには何台もの室外機が取り付けられているが、エコミラ1台ですべての室外機を制御する。一般的に、後付の制御機器を取り付けるとメーカーはエアコンの保証を行わない。HR社は、各エアコンメーカーの純正品として供給しているために、メーカー保証にも対応している。
エコミラの完成を受け、宿題を出していた大手ホールが2011年から1年間テスト導入をした。480台の店舗で気象条件などが違う店舗を抽出して実験した結果、1年間で125万から337万円の削減に成功した。
要望していた電気代の30%削減額だけでなく、快適性の保持、エコミラの2年償却もクリアした。
2012年からエコミラの本格導入が始まり、現在、チェーン200店舗超に導入。その結果、年間の電気代の削減額は約4億円に達している。
「70%の運転でも温度差は1度ぐらいしか変わりません。ただ、店内が冷えるのが少し遅れるぐらいですが、営業中は問題はありません」(同)
エコミラの効果を発揮するにはインバーターエアコンが条件になるが、よほど古いエアコンではない限り、インバーターエアコンになっている。
業界がデマコンアレルギーにかかっている原因の一つに、効果が出なかった時の保証がなかったこと。HR社では2年間で試算した減価償却が達成できなかった場合は、その差額を補償する「2年償却保証」も実施している。
これが弾みとなって前出の大手を含めると現在約400店舗のホールに導入されている。
なお、エコアイの工事中はエアコンを止める必要がないので、営業中でも工事ができる。ただし、工事完了後はエコミラのつなぎ込みのために、5分間エアコンを止める必要がある。工事は全国対応している。
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