自動車、家電製品、情報機器、カメラなどの様々な製品の形状や色彩、スタイルなどのデザインを行う。
製品の意匠を創造し、生産部門が正確かつ高品質な製品を製作できるよう消費者・利用者の嗜好やニーズ、ファッションなどさまざまな情報を収集し、アイデアを練る。
製品化を実現するためにスケッチを描き、企画担当者、生産担当者、販売担当者と緊密に連携・検討を重ねながら協働作業をすすめていく。3DCAD等を使い、候補となるいくつかのデザインをシミュレートした後に試作し、経営幹部も交えて最適デザインを決定する。
決定されたデザインにしたがって、3Dプリンター、粘土や木、紙などで模型をつくり、修正や改造を加えて最終的なデザインを決め、図面データ化していく。生産段階ではデザイン仕様が守られているか、さまざまな角度からチェックすることが必要となる。
インダストリアルデザインを専門に行っている工房には、今、若者が乗りたくなる自転車のデザイン依頼が来ている。
デザインの前に今の高校生の嗜好を探る上で参考になるのが、佐賀県の自転車がカラフルであるということだ。カラフルでなければ売れない特殊事情がある。特に目立たないシルバーや黒が不人気だ。
佐賀県は平坦な土地柄ママチャリ需要が他県よりも多く、カラーバリエーションが豊富でなければ、みんなと同じになってしまう、という理由。始まりは20年ほど前、当時の高校生のファッションリーダーからカラフルな色合いの要望からだった。カラフル自転車の発祥店は、ママチャリだけで50色も取り揃えている。
変速機も付いていないママチャリなので、価格は1万3000円前後が売れ筋。電動自転車の10分の1だ。
カラフルな自転車は高校生のニーズによって生まれたものだった。
で、話を戻す。
ママチャリ価格で若者が乗りたくなる自転車のデザインだが、還暦前後の人なら分かるが、昭和40年代に小・中学生の心をわしづかみにしたのが、フラッシャー自転車だった。ダブルヘッドライトにセミドロップハンドル、クルマのオートマの様なシフトレバー付き変速ギア。後部には光が流れる電子フラッシャーの方向指示器が付いていた。
昭和の一時代を席巻したフラッシャー自転車は、豪華な装備で大ブームを巻き起こしたが、それをデザインで、という依頼である。
子供を2人乗せられる電動自転車は、今や子育て主婦の間では必須アイテムとなっている。この自転車に高校生が乗ることはないが、その対極で、デザインで絶対に乗りたくなる需要を掘り起こそうとしている。
で、このインダストリアルデザイン工房に遊技機メーカーからも筐体のデザイン依頼が舞い込んでいる。
自転車と同様に「若者が思わず触りたくなり、打ってみたくなる」をコンセプトとしている。パチンコは18歳から打てるわけだが、高校生が触りたくなる、というのがキーワードでもある。
メーカーのデザイン部や協力会社も知恵を絞ったが、筐体がバカでかくなっただけで、発想の限界を感じて、辿り着いたのがこの工房のようだ。
自転車にしろ、パチンコ筐体にしろ、デザインで振り向かせるのは相当な難関なようだ。自転車に関してはすでに4~5年が経過している、という。

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