パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

税務署の切り札にならなかった機械代のキックバック

自民党の安倍・二階派などの政治資金パーティー券の裏金問題で「キックバック」という言葉が改めてクローズアップされている。

ノルマ以上にパー券を売った議員に対しては、ノルマを超えた分を議員にキックバックしていた。この仕組み自体は、情報を公開しているのであれば政治資金規正法には抵触しない。

今回は企業などが購入したパー券代について、収支報告書に記載がなかった。さらに派閥から議員へのキックバックについても収支報告書に記載がなかったことが問題となった。

収支報告書に記載しないことで、なんでも自由に使える金ということは、すなわち”裏金”ということになる。

庶民の感覚からすれば、これは脱税問題になる。パー券代やキックバックには「税金」がかからない。何故なら、政治資金に使ったと言えば、非課税だからだ。

これに国民の不満が爆発した。インボイス制度の導入で個人事業主からは税金を搾り取っているのに、法律を作る政治家は自分たちが不利になるような法律は作らない。

キックバック収入は本来なら課税所得でなければならない。

キックバックは政治の世界だけでなく日本社会には古くからある慣習で、パチンコ業界にも当然ある。

あるホールで70代の社長が亡くなった後を継いだのが、社長の奥さんだった。それまでホール経営にはノータッチだった。社長になった奥さんの仕事の一つが業者へのキックバック要求だった。

それはそれとして、ここからは実録税務署VSホールのキックバックを巡る脱税攻防だ。

あるホールの本社へ税務署が国税局とタッグを組んで「任意調査」と称して、いきなり税務調査が入った。

任意調査は通常は相手方に事前に通知するなり、代表者の許可を得ることが法律で定められているのに、まさに寝耳に水。

時刻は午前9時。強制査察ならともかく、これは明らかに違法に近いものだった。

本社だけでなく、ホールにも調査が入った。金庫の鍵を持っている店長はまだ出勤していなかったために、税務署員は金庫の前に座っていた。

任意調査と称しながら「事前通知すると残高と帳簿を合わせるので、何も出ない」というのが税務署の本音だ。

30人あまりを動員して、帳簿を持ち帰ったが、ガラス張り経営で適正申告をしているため何も出ない。

ところが税務署は「切り札がある」と自信を覗かせていた。

税務署の切り札とは、メーカーからのバックマージンだった。

営業マンサイドで値引きするメーカーもあったが、大半のメーカーが値引き分を一括で社長のポケットへ戻すために、別の銀行口座に個人名で口座を作るのが慣わしだった。

大半のオーナーはそれを自分の懐に仕舞い込んでしまうので、税務署にすれば、それが切り札だった。

ところが、このホールの社長は、メーカーから個人口座に振り込まれた値引き分は、そのまま会社の口座へちゃんと戻していたので、切り札にもならなかった。

違法な税務調査に抗議も行った。後日、プロジェクトリーダーである国税の若手担当者と税務署の企画責任者の2人の計3人が謝罪に来た。

リーダーは「今後5年間は調査しない、と一筆書く」と申し出たが、「毎年来なさい」と即座に断った。

ガラス張り経営が最強の強味となるケーススタディーだ。



人気ブログランキングへあなたのポチっ♪が業界を変える

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。