ある日少し意地悪かもしれませんが、明るい未来が見えない業界や職場で働いていて自分の人生が不安にならないのかと塾生たちに質問をしてみたのです。大体は口籠もってしまい、明確な返答はありません。ところがある若者がこんな発言をしたのです。
「今の僕にはあまり関係ないです(業界の未来が)。目の前にある仕事をやり、また明日もやるべきことをやるだけです。だいいち、僕はパチンコの仕事が好きですから」と言う彼はまだ25歳。
私は俄に緊張しました。パチンコに得体の知れない夢や理想みたいなものを抱いていた私は返す言葉がなかったのです。
しかし彼は自分の意見をただ述べただけで熱情に溢れるような様子ではありませんでした。表情に変化はなく、淡々としていました。そして言っていることは理路整然としているのです。
「どこから、いやいつからそんなふうに考えるようになったの?」
私は聞いてみました。
「いつかは自分でもわかりません。ただ未来とかってリアルじゃないと思うんですよ。自分はまだ25歳だし、世の中のことなんてほとんど知らないし、でも知らなくても自分が好きなことをやっていて生活していけるからそれでいいのかなって思っています」
何かの本にこんなことが書いてありました。
「大人はどこかで若者や子供を馬鹿にしているのではなかろうか。なぜ一方的に馬鹿にするのか。実は若者の大いなる可能性に恐れを抱いているのではないだろうか」不意にその言葉が思い出され、それは自分のことではないかと思ったのです。
未来がリアルではないと言っていた若者は今をリアルに捉えています。それもややこしい理屈や理論ではなく直感として今を的確に捉えているのです。それを「今の若い奴は」などと言ってなじる大人と同様に、私はパチンコの今と昔を混同して捉えていたことを認めざるをえませんでした。
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