メーカーが機械代を下げないのなら「不買運動をすればいい」というのが昔から言われ続けてきたことだが、ホール側の購買力が落ちてきたことが、ある意味では不買運動ともいえなくはない。
「ビッグコンテンツも当たらない。今では1機種で10万台売ることは夢の夢になってきた。これからのメーカーの開発トレンドは多機種、小ロット販売にシフトしていくのでは?下手な鉄砲も数打ちゃ当たるではないけど…」と自嘲気味に語るのはメーカー関係者。
ビッグコンテンツが当たらなければ、機歴販売も通用しなくなるというもの。その前にホールの方が機歴販売に付き合うだけの体力がなくなっているので、強引な販売方法も自然と淘汰されて行くのかも知れない。
かつては1機種で10万、20万台と売れる時代もあったのに、2016年度で年間の販売台数が10万台に達しなかったメーカーは14メーカーにも及ぶ。年間の発売機種は多いメーカーで12~17機種を販売しているが、平均すると1機種当たりの販売台数は1万~1万5000台だ。三洋の稼ぎ頭のスーパー海物語in沖縄4が12万5000台ぐらい売れて一人気を吐いたが3万台を超える販売を記録したのは全メーカーで9機種しかない。上場メーカーでも3万台を超える機種が1機種もないケースもあるぐらいだ。
客のニーズにあわせて商品のバリエーションを用意し、その生産ロットを単位・製品単位では、少量で量産をおこなっていく生産方式のことを多品種少量生産と呼ぶ。現代の高度に発達した消費社会においては、生活財はほとんど飽和状態にあるとされ、個人の嗜好にあわせた細やかな商品設定が重要となってきている。そのため、かつてのフォードシステムに代表される少品種大量生産から、需要にあわせた多品種少量生産が主流となった。
これが一般社会の多品種少量生産の流れだが、パチンコ業界が目指すのは別の意味合いがある。
「少量なら完売もしやすい。とにかくメーカーにとって在庫を残すことは致命傷になってくる。それで、これまでは売れ残った機械は上得意様には破格の値段で販売することもありましたが、完売させることで飢餓感が生まれる。先見せで完売することが理想です。完売させることがある種の宣伝にもなります」(同)
下位メーカーは元々小台数しか生産しないが、大手メーカーまでもがその領域に踏み込んで来ようとしている。
下位メーカーが対抗するには20万円の機械でスマッシュヒットを飛ばすことだろう。組織の小さい下位メーカーなら、それも可能だ。さすがに20万円の機械は大手では作れないので、ここで差別化を図ってもらいたい。
安くて面白い機械でパチンコ人口のすそ野を広げて欲しい。

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