パチンコ日報

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開店前の行列に並んで客の声を聞くオーナー

2店舗のオーナーは2代目だ。でも、年は還暦を超えている。先代が10年前他界して家業を継ぐためにパチンコ業界に入ってきた。つまり、50歳まではまったく違う業界で生きてきた。それまでは家業を継ぐ気は毛頭なかったためだ。



店舗はいずれも300台クラスの小型店で、稼働は芳しくない。



ホールにはお客さんの意見を吸い上げるために投書箱を設けていた。



常連さんからの投書で、社長宛の1枚がオーナーの目に止まった。そこには、従業員の態度について書かれていた。従業員が客によってフレンドリーであったり、冷たかったり、と差があるので公平にして欲しい、という内容だった。



改めて投書を読み返した。



カップラーメンを食べるために電気ポットと割り箸を置いて欲しい、というような具体的なものもあったが、店長のところで止まって、オーナーのところにまで上がってこない情報が少なくないことに気づいた。



オーナーはお客さんの生の声を知りたくなった。



そこで取った行動が、客のふりをして開店前に並んでいるお客さんの声に耳を傾けることだった。



平日で10人、土日で20人ほどが開店前に並んでいる。



イベントが禁止になって、告知をすることはできなくなったが、昔からやっているイベントの名残を常連客は知っていることが分かった。



このホールではイベント規制前から水曜日=水が付く日は水に関する台、例えば海コーナーの釘を開けていた。そのことを今でも常連客は信じて通っていることが分かった。



時には従業員も悪口も耳に入って来た。



「いつも来ているバアさんが出しているが、いつもバアさんと親しげにしゃべっている従業員とつるんでいるじゃないか」



これは、まったくの誤解だ。出ている時は目立つが、毎日、毎日勝っているわけではない。負けている日もあるのに、勝っているとやっかむ。



「この店の店長って誰だい?」



「おれも分からない。あの白シャツでもなさそうだし」



店長は2年前に新しい店長が就任していた。店長自身がほとんど表に出ていないことも分かった。



新任店長は特に接客に力を入れていた。大手の接客を参考にしていた。



「接客が丁寧になって気持ち悪い。ニコッと笑われたら、ニコッと返すのがめんどうくせえ」



生の声を聞いて改善すべき点は改善して行った。



何よりも収穫だったことは、お客さんの来店動機が分かったことだ。



「たまに違う店に行くと、午前中はお客さんも少ないので、その店の常連から『なんだあいつ』というような目で見られることが嫌。つまり自分の肌に合わない。出玉の前に自分の水に会う店を選ぶ。それで当店を選んでいるお客さんがいることが分かりました。そういうお客さんに支えられているので、釘もいきなり変えてはいけないことが分かりました。お客さんによって店を選ぶポイントは違う。お客さんの立場が分かり、稼働を落とさないヒントを得ることができました」(オーナー)



ホールは築30年以上。



建て替え時期も迫っているが、建て替える気力はまだ生まれてきてはいない。







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