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税務署の切り札にならなかったバックマージン

昨年夏場にある事件が発覚した。端緒は、スロット販社に税務調査が入ったことだった。販社は使途不明金を追及され、バックマージンだったことを白状してしまった。

ホールの営業本部長が税務署から800万円の脱税を指摘された。過去3~4年に亘りスロット販社から裏金をもらっていたことが表面化した。

このホールと取引がある別の販社も調査したところ、芋づる式に営業本部長に裏金を渡していたことまで明らかになった。

バックマージンの金額は遊技機1台で5000円ぐらいが相場だ、といわれている。10台で5万円、100台で50万円、1000台なら500万円、とちりも積もれば山となる。

当然、営業本部長は懲戒解雇となるわけだが、賢い人は現金ではなく、商品券やビール券などの換金性の高いものを選ぶ。

キックバックを渡す方も商品券などなら領収書をもらえるので、使途不明金として追及されない。商品券をもらった方も金券ショップへ持ち込めば、すぐに現金化できる。

金券ショップに大量に商品券やビール券が販売されているのは、一種のマネーロンダリングともいえる。新幹線チケットが金券ショップで販売されているのは、一般企業が裏金作りのために、大量購入した回数券を持ち込んでいるためだ。

その一方で、その昔、こんなケースもあった。

ある中堅ホールに税務調査が入った。税務署としては「切り札」を持っていて自信満々だった。

その切り札とはメーカーからのバックマージンだった。

当時、大半のメーカーが値引き分を一括で社長のポケットへ戻すために、別の銀行口座に個人名で口座を作るのが慣わしだった。

大半のオーナーはそれを自分の懐に仕舞い込んでしまうので、税務署にすれば、それが切り札だった。

ところが、そのホール企業ははメーカーから個人口座に振り込まれた値引き分は、そのまま会社の口座へちゃんと戻していたので、切り札にもならなかった。

そのオーナーは飲みに行っても、経費で落とすための領収書も一切もらわず、すべて自分のカネで支払っている。オーナーの奥さんのゴルフ代も領収書はもらわず、公私混同のけじめをはっきりしている。

大手でバックマージンが問題になったことがある。それで、決裁権者が担当していた業者が全て切られた。業者の中には太い柱を失い、その煽りで倒産したところもあった。

それ以降、業者からの中元、歳暮は全て断るようになった。従って、業者と飲み食いすることもご法度。ランチでさえも上司の許可をもらい「割り勘」と徹底させている。業者に奢ってもらう、という貸しを一切作らない。そこまでして業者との癒着を排除している。

しかし、商慣習としてこのバックマージンはなくなることはない。それを個人の懐を肥やすか会社の口座へ戻すかの違いだ。

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