数年前、地方でトップのホール企業の研修を行った。研修担当者は、その会社が半年、1年後にどう変化して行っているか、それを自分の目で確かめに行くことがよくある。
教え子の成長ぶりを見たいのは親心ともいえる。
このホール企業のケースでは、結果的にはがっかりすることになっていた。
教えたことがとにかくアレンジされ、元の形がなくなっていたのである。研修前に比べれば、よくはなっているのだが、こうも原型を留めていないことに肩を落とした。
よくいえば、応用力が高く、オリジナリティーを大事にするホール企業ということになるのだが、研修会社からすれば、教えたことをそのままやって欲しいものだ。
大手ホール企業ともなると、社内で教育インストラクターを育てるために、教育担当者のための教育を受けることもある。
ここでも研修会社の担当者から見ると業界に対する意見は辛らつだ。
「ホールで働く人の資質に問題がある。教育インストラクターに選ばれた人の資質が元々低いので、部下にちゃんと教えられない。ホールで働く人たちは一流の接客を受けたことがないので、一流の接客がどういうものかを体験させるためという目的もあるのだろうが、教え甲斐のない企業が多く、教え甲斐のない業界だった。パチンコ店での接客の根底にあるものを考えないと変な接客になる」
一流の接客を受けても、働く側の意識が低ければ猫に小判、ということだ。
ホテルでも一流のシティーホテルとビジネスホテルでは、そこで働く社員の一流意識も違ってくる。
流通業でもスーパーと百貨店では違う。
ホール企業でも一流の接客を学ばせているが、本当の効果は出ているのか、ということだ。
一流の研修を受けても、追いついてこれるだけの意識を持つ従業員が少なければ、一流のレベルには達しない。
それとキャビンアテンダントの接客がホールに向いているのか、ということだ。それはホールの客層も含めていえることだ。
話はちょっとそれる。
大学教授の話の中で「パチンコ業界で染み付いた垢を落とすのに大変」というのがあった。
マルハンで2~3年アルバイトを経験した人が、地域の準大手に就職した。
そのホールにはそのホールのやり方があるが、この人は「こういう場合、マルハンではこんなやり方をしない」と反発して、ホールの方針に従うことができず、結局、そのホールのやり方に馴染めずに辞めて行った。
マルハンで染み付いた垢を落とすことができなかった、というケースだ。
話を戻す。
パチンコ業界は規制との戦いなので、その規制の中でも生きていく適応力は高いのだから、ホール業界オリジナルで、誰が見ても気持ちのいい接客を自らの手で開発してみてはどうだ。

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