はっきりしたデータはないが、オーナーの息子とはいえ、少なくとも表回りからスタートした経営者のホールは、この苦境にもそこそこの稼働を上げ、出店意欲も旺盛だ。
それは顧客や社員の気持ちを通して、現場を知っているからだ。
あるホール専務は2年間販社で修業して、実家のホール企業に入社した。身内なので、社長からある程度の役職をもらえるものと思っていたが、社長からは「一からガンバレの」一言で、アルバイトスタッフと一緒になって玉運びに汗を流した。
知識があるのと、実際にやってみるのとでは、まったく違った。
下積みを2年ほど経験して、3年目で店長代理になり、その後、店長となり、段階を踏みながら専務に就任した。
入社と同時に専務を経験していたら、何の知識もないのに、判断を迫られ、苦労することになるので、下積みを経験したことをよかった、と思っている。
ところが、フィーバーブームで呼び戻されたり、そのまま外の釜の飯も食わないで会社に入った人は、現場経験もないままに経営者になってしまったので、若い時からあまり苦労していない。
パチンコ業界は景気がいい時代が長らく続いたので、経営者も勉強する努力を怠ってきた。
トップがやっていたことは、ヒット機種をどこよりも早く、沢山入れるためにメーカーの営業マンを接待することだった。
人材育成より、機械営業頼みだったホール企業は、そのツケがボディーブローのように表れ、いくつかあった店舗を切り売りしながら、細々と経営している。
先代が会長に納まり、2代目が社長になっているケースで、会長のいうことは従うが、社長である自分のいうことをまったく社員が聞いてくれなくて悩んでいる経営者も少なくない。
ホール運営の現場経験がないため、基本的な知識もないため、社員は社長の言うことを内心では舌を出している。
現場のたたき上げから店舗再生のコンサルとして独立した人のかばん持ちからさせて、一から勉強させようと、先代は努力したが、コンサルのやり方に反発するだけで、最後は難癖をつけて追い出した。
わがままに育っているので、苦労に耐えられない。
4円の稼働が下がり続ける中、苦労をしていない2世経営者はなす術がない。外に向かっては虚勢を張るも、自分自身に自信がない。
こうした2世経営者が青年部会活動をやっている。真面目な活動で社会貢献もしているが、中には活動ごっこをやっているケースも見受けられる。
次世代を担う若手が奮起しないことには業界の再生はない。

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