4月15日に開かれた金日成主席生誕100周年で軍事パレードが開かれ、金正恩第1書記が公の場で初めての演説を行い、新体制をアピールした。
北朝鮮籍の人の下には、金正日総書記の葬儀や金日成主席生誕100周年で、総連から動員や寄付の依頼が矢継ぎ早に来たが、思うように集まらなくなっているのが実情だ。
総連組織が弱体化しているから寄付が集まらないのか、寄付が集まらなくなったから組織が弱体化したのか。
北朝鮮が日本人拉致を認めてからは、一気に北朝鮮籍の人たちの心が離れ、国籍を韓国に変えた。
日本で生まれ、2世、3世、4世と世代が進むに従って祖国に対する思いも薄れてくる。
「(16日のエントリーで)自分と同じ想いをしている同胞がいることを知ってホッとしました。今回、金日成主席生誕100周年の寄付の依頼が来ましたが、本当に余裕がないのでウチは断りました。生誕100周年ですから親父の代なら寄付をしていたでしょうが、私の世代ともなると向こうにいる親戚の顔も知らない。親父たちは向こうにいる親戚のためにも寄付していたようなものです。ましてや、われわれの寄付が核開発に使われているのかと思うとなおさらです」(北系ホール関係者)
北朝鮮人民は貧困と飢えに苦しんでいるというのに、核開発にカネをつぎ込む。軍事費を減らすだけで飢えから開放される。忸怩たる思いで若い世代は祖国の動向を見ている。
寄付を断ったことでホールには無言電話が入り、不良客が店にたむろするようになった。
「前回テポドンを発射した時の経済制裁はある意味助かっている。万景峰号が入港できなくなって、送金ルートが断たれているのでおカネを運びにくくなっている。祖国が憎いわけではないが、日本で生活しているわれわれとしては、共和国はもっと日本と仲良くやって欲しい。金日成が生きている時代が一番良かった」(同)
朝鮮大学は北朝鮮籍の人の中でもエリート集団だ。大学時代は寮生活で同じ釜の飯を食ってきているので、結びつきは強い。
朝大出のあるホール幹部はこう打ち明ける。
「気心の知れている仲間同士でも祖国を批判するような話しは一度もやったことがなかった。自分の考えが正しいのかどうかバランス感覚に自信がなかったが、日報を読んで同じような考えを持っている人がいるので安心した。今回のミサイルが韓国か日本近辺に落ちていたら、国際批判をもっと浴びていたし、もっときつい経済制裁が加わったはず。一旦、金体制を解体することが祖国のためになる。本当にそう思う」
北朝鮮に言論の自由はないが、北系の人は日本に住んでいても、同胞にすら本音を語れない心内があるようだ。

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