本来なら金正恩が国防第1委員長に就任する日の祝砲で、軍事の天才であることを人民に誇示する目的があったはずだが、その思惑も霧散した。
この報を受けて北系の業界関係者はこう声を潜める。
「発射する前から失敗することをずっと願っていた。失敗して正直ホッとしている。成功していたらもっと風当たりがきつくなるのでそっちを心配していた。でもこんな話しはいくら同胞でもよほど信頼できる人間でないと話せない」
確かに成功していたらアンチパチンコ派が、昨年の計画停電中の時のように、パチンコ潰しのデモ活動を展開する可能性があったかも知れない。
しかし、過去の発射実験では、テポドンの発射が成功しようが失敗しようが、日本政府は北朝鮮に対して一定の経済制裁を加えた。
その一環としての影響が業界にもじわりと忍び寄った。
金融機関の融資が厳しくなって倒産したり、風適法違反で摘発され営業許可が取り消しになったり。いずれも北系のホールだった。
パチンコマネーが核開発に使われていたとの疑念は払拭できていない。
その一方で北朝鮮にある変化が現れた。
「失敗しても絶対に失敗を認めない北朝鮮が、今回は早い時期に失敗を認めた。これは極めて異例なこと。これは政権内部が確実に変わっていることを印象付けた。金正日の時代に失敗を認めようものなら、責任者は銃殺刑なっていた」(北朝鮮ウォッチャー)
失敗した場合、失敗を認める予兆はあった。“衛星”打ち上げを海外メディアにも公開するために記者を招いていたからだ。
「普通なら失敗しても2~3日はだんまりを続けるが、今回は海外メディアを呼んでいるので隠すこともできない。だから失敗してもすぐに認めるのではないか、と思っていた。従って、最初から失敗したときの段取りはできていたはず。新しい指導者によって北朝鮮は開かれた国に生まれ変わった。失敗を認める開かれた北朝鮮を印象付けるには今回の失敗は最大の宣伝になった。逆に金正恩にとってはよかった」(同)
ミサイルを1基発射する費用は、250万トンのとうもろこしが1900万人に1年間行き渡る金額ともいわれている。
今後経済制裁の余波が、再びパチンコ業界を襲うかどうかは予断を許さない。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。