ある話を聞いて、囚人のジレンマを思い出した。
ある話は後述するが、マーケティング用語集によるとこう解説されている。
個々にとって最適な選択が全体の最適な選択にはならないという、数学や経済学のゲーム理論における有名なモデル。
マーケティングにおいては、価格競争における企業の意思決定を考察する際に取り上げられることが多い。
コモディティ化の進んだ市場では、製品性能による差別化が難しく、ほとんどの場合、店頭価格によって顧客の購買行動が決まってしまう為、低価格であれば売上がアップするが、高い価格をつけてしまうと途端に売れ行きが悪くなる。
価格競争を囚人のジレンマに当てはめると、以下のモデルのようになる。
最良の選択は、自社も競合も「値上げ」を選択することで市場全体の利益を最大化し市場を拡大させることであるが、それぞれ一人勝ちを狙う為、自社にとって合理的な選択となる「値下げ」という意思決定が選択される。
お互いに「値下げ」を行う価格競争が起こり、市場全体の利益もシュリンクして行ってしまう。
このように、囚人のジレンマモデルによって、コモディティ市場の価格競争メカニズムを説明することができる。
パチンコ業界の場合の価格競争をしない“賢い”選択となっているので、新台価格が滅茶苦茶下がることはないが、ここからが囚人のジレンマを感じたある話である。
2月4日の朝刊の折込には、この日から解禁になったパチンコの北斗の拳、スロットのミリオンゴッドの2大ビッグタイトルが揃い踏みしたことで、各ホールのチラシが目立った。
解禁日の顔ぶれを見ていると、いずれも有力ホールのチェーン店ばかりだ。この2機種に懸ける期待度がよく表れている。
さて、ここからがようやく本題だ。
そのホールの店長は4パチの客が飛び、1パチを死守しているのだが、会社からの指示で利益も取らなければならないのだが、利益を取った時に1パチの客が飛んでしまって、戻らなくなった時のことを考えると、恐ろしくてできない。
それは、競合店が1パチで客を飛ばして、その後どんな手を打っても戻ってこないことを目の当たりにしているからだ。
メーカーの営業マンはホールの情報も教えてくれるのだが、「最近、○○ホールは新台も買えなくて、取引額が随分少なくなっているんですよ」と耳打ちしたりする。
店長は、その営業マンがヨソのホールへ行って「○×ホールは最近新台も買えなくなった」と噂を立てられる、と考えると新台を買うことも控えるわけには行かなくなっている、という。
その営業マンの術中にまんまと嵌められてしまっていることに気づきながら、買うことを止められない。
これもある種の囚人のジレンマだろう。
いずれにしても、ホールは新台を買うようにできている。
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店長が新台を買う意外な心理
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