同じ列の3人先の年配客が雑誌を読んでいた。
表紙を見て驚いた。
業界誌の遊技通信だった。
ホールやメーカー、商社、組合などパチンコ業界内にしか送られていない業界誌を読んでいる、ということは間違いなく、業界関係者であることを確信した。
秋田空港に到着して、件の紳士に自らの素性を明かし、話しかけてみた。
するとホール経営者であることが判明した。
機内で業界誌を読んでいるということは、情報収集には熱心であることが伺える。案の定、日報の読者でもあった。
こうなると距離感がぐっと短くなる。
今回は東京へ商談に行った帰りだった。地方にいては情報が遅い。販社の提案能力が低下しているので、自らが直接東京へ行って最新の情報収集を行っている、という。
情報収集はネットも活用している。その流れで日報も読むようになったようだ。
短い時間だったが、地方ホールの実態を切々と語ってくれた。
「都会に比べて娯楽が少ない地方では、やはりパチンコは娯楽の王様。今のパチンコはおカネがかかりすぎるが、誇りを持ってやっている。農村地帯のお年寄りは1日の仕事が終わってやるパチンコを楽しみにやっている人も大勢いる。それでパチンコホールが地域のコミュニティの役割をしている。これは東京の人には分からないだろうけど。地方で4円の新台の回収はできないので、1円で利益が上がるように研究している」
一時は復興景気に沸いた東北も、瓦礫撤去が一段落したのか、仙台市内は別として、郊外に行くとパチンコ店も一段落しているようだ。
瓦礫撤去の次の計画が進んでいないため、全国からきていた労働者の数も減り、大賑わいだったキャバクラも客が減っているように、パチンコにもその影響が出ている。
震災から2年以上が経過して失業保険も切れれば、地元のユーザーもいつまでもパチンコしている場合ではない。
震災直後は1円コーナーよりも4円コーナーが賑わった時期もあったが、それも今は昔。時間を潰すには1円しかないので、もう4円には戻れない、という。
仕事をリタイアしていたお年寄りは、図書館やショッピングセンターなどおカネのかからないところに集まっては時間を潰している。
地元の人はこういう。
「時給750円の仕事をして改めて思った。1日10時間働いても7500円にしかならない。おカネの大切さが分かると、1日働いたおカネが20分ぐらいで消える遊びだと気づいた。大切なおカネは4円には使えない」
4円で利益を出したい、というのは業界側の事情だが、地方のお客さんの懐はまだまだ回復していない。
地方ホールの現状打破は大手コンサルもお手上げ状態。
「農村地帯で、繁忙期は天気のいい日はお客さんは来ないのは当たり前で、雨の日は仕事ができないので、朝からお客さんはいたんですが、今年は天気が悪くてもお客さんの数がめっきり減っています。イベント規制で今までのやり方がまったく通用しなくなって、コンサルの引き出しも限界のようです。新台入れ替えだけでも集客できなくなっていますが、大手コンサルでも稼働が上げられない地域が確実に出てきています。パチンコが手詰まり状態なので、違う部署への移動を希望しているコンサルも出てきています」
1パチ、5スロに換わる営業方法が大手も見つからない。
※飛行機の話は営業1号ではありません。

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