画面が大きくなるほど奥行きも増し、30センチから大きいものでは60センチ以上。構造上、電子銃から放たれた光を奥で加速させる必要があり、薄型化は不可能だった。重く、かさばり、部屋のレイアウトを制限する存在でもあった。
ところが2000年代に入ると、テレビは劇的な変貌を遂げる。「箱」から「板」への進化だ。最初に薄型化の扉を開いたのはプラズマテレビであり、その後、消費電力や量産性で優れた液晶テレビが主役となった。
初期の液晶でも厚さは5〜10センチ。ブラウン管時代を思えば革命的な変化だった。
さらにバックライトが蛍光管からLEDへと置き換わることで、テレビは一気に薄くなる。壁掛けが当たり前となり、厚さは2〜5センチへ。そして現在、有機ELテレビはバックライトすら不要とし、最薄部は数ミリ。テレビはもはや家具ではなく、空間を演出するインテリアの一部となった。
このテレビの進化に着目した遊技機メーカーが、今、ある挑戦に乗り出している。
それは薄型パチンコ機の開発 だ。
現在のパチンコ機は、見た目こそ派手に進化したが、構造的には「分厚い箱」のままだ。大型液晶の裏には巨大な裏基板、電源ユニット、配線が詰め込まれ、厚みはテレビで言えば、いまだブラウン管時代に留まっていると言っても過言ではない。
しかし、スマパチの登場は、その常識を覆す可能性を秘めている。物理的な補給装置が不要になり、内部構造を大幅に簡素化できるからだ。これは、ブラウン管から液晶へと移行したテレビと同じ技術的転換点でもある。
メーカーが見据える次のゴールは、「壁掛けパチンコ」の実現だ。
壁面に設置された薄型パチンコが並ぶホールは、これまでの島配置とは全く異なる景色を生み出し、ホール全体の雰囲気も大きく変わる。
薄型化のメリットは見た目だけではない。機械が軽量化されることで、設置や入れ替え作業の負担が減る。
さらに、試算では同じ床面積でも設置台数を約40%増やすことが可能だという。仮に500台設置していたホールであれば、700台近くまで増台できる計算になる。これは、出店が難しい都市部のホールにとって極めて大きな意味を持つ。
テレビが「箱」であることをやめたとき、私たちの生活空間は大きく変わった。
同じように、パチンコ機が「分厚い筐体」である必然性を手放したとき、ホールの姿も、遊技のあり方も一変するだろう。
壁掛けテレビが当たり前になったように、
壁掛けパチンコが当たり前になる日……。
それは、決して遠い未来の話ではないのかもしれない。
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