その構想とは、総合ディスカウントストアが中心となって建設を進める巨大テーマパークに、同社が出資という形で3000台規模のホールを併設するというもの。テーマパークにはホテルも併設され、ターゲットは日本人ではなく、インバウンド客だったという。
開業予定は2028年──つまり、今から2年後だ。
ところが、これほどの大規模事業でありながら、現時点でいっさいの公式発表がない。まるで、最初から存在しなかったかのように情報が消えている。果たして、この“幻のプロジェクト”は本当にとん挫したのか。それとも水面下で進んでいるのか。
発端は、ディスカウントストアの海外戦略だったという。日本の消費低迷が続くなか、同社はアジア市場でのブランド力を強化するため、「日本でしかできない体験型ショッピングリゾート」を構想していた。
テーマパークの敷地には、免税店を兼ねた巨大モール、温泉施設、アニメをモチーフにしたアトラクションなどを配置。そこに「日本独自の娯楽」としてパチンコを加える――そんな青写真だった。
「インバウンド客にとって、パチンコはジャパニーズカジノなんです。ルールが分からなくても、光と音の演出がエンタメとして通じる。だから外国人観光客向けのパチンコリゾートには一定の需要があると見込んでいた」(元社員)
ホテル宿泊者には専用の遊技スペースを設け、カジノでは味わえない“日本的な遊技文化”を体験してもらう。パチンコに触れたことのない観光客でも、ガイドスタッフがルールを説明し、遊技の収益は地域振興基金へ還元――そんな構想まであったという。
しかし、現実は甘くなかった。
2019年以降のコロナ禍で、観光業そのものが壊滅的打撃を受け、インバウンド頼みのビジネスモデルは根底から見直しを迫られた。
さらに、風営法の壁も高かった。外国人専用フロアであっても、法的には風俗営業扱いとなり、ホテルや商業施設との併設には厳しい制約があった。
「結局、行政側の理解を得られず、資金面でもリスクが大きすぎるという判断になった。パチンコを観光資源に、という発想自体が早すぎたのかもしれません」(同)
もしこの構想が実現していれば、パチンコ業界にとって歴史を変える一大プロジェクトになっていた可能性がある。
観光・エンタメ・遊技を融合させた“新しいパチンコの形”が世界に発信されていたかもしれない。
2028年まで、残り2年。
計画は完全に消えたのか、それとも別の形で息を吹き返すのか。
夢は消えたようで、まだどこかに火種は残っているのかもしれない…。
正月にそんな夢を見た。
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