店名は、そのままズバリ「むかしのパチンコ」。潔いばかりのシンプルさだ。
店内に並ぶパチンコ台は、すべて手打ち式。電動ハンドルが正式に認可されたのは昭和47年のことだから、設置されている機械は昭和40年代のものと考えられる。
手打ち式は昭和50年代初頭まで一部で残っていたとはいえ、現役で稼働している姿を見る機会は、皆無と言ってもいい。この時代に青春を過ごした世代は、すでに還暦を越え、喜寿を迎える人も少なくないだろう。この世代にとって、ここは単なる娯楽施設ではなく、昭和へタイムスリップできる場所でもある。
しかも、島構成は立ち島。椅子のないパチンコ店をリアルタイムで知る世代は限られるが、そこには確かに昭和の空気が残っている。玉の音、釘の並び、盤面に向かう客の距離感は、現代のホールとは別世界で、時間が止まったまま昭和が息づいている。
60年前のパチンコ台で営業している以上、当然ながら風営法下のパチンコ営業ではない。遊び方はシンプルで、1回500円を支払って遊技を楽しむだけ。出玉や交換といった概念もなく、チューリップをめがけて玉を弾くことが目的となる。パチンコ博物館に展示されていてもおかしくない台が実際に打てる。それだけで十分な価値がある。
会社の慰安旅行が減り、業界全体が効率や数字に追われる今だからこそ、こうした場所の意味は大きい。温故知新という言葉通り、ホール企業の新入社員研修で訪れてみるのも一考だろう。パチンコが本来、大衆娯楽としてどこから始まったのか。その原点を体感するには、これ以上ない教材となるはずだ。
なお、訪問する際には注意が必要だ。毎日営業しているわけではなく、現在は日曜日の午前10時から午後5時までの限定営業。昭和に会いに行くには、少しだけ予定調整が必要だが、その価値は十分にある。
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