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トラブル対応における正当防衛のリスクと教訓

あるホールで、客同士のトラブルが発生した。ある客が他の客にちょっかいをかけ始め、迷惑行為に発展したため、スタッフが呼ばれた。やってきたのは女性スタッフだった。相手が女性だったこともあって、迷惑客は逆に興奮し始め、さらに暴言を吐き続けた。

すぐに主任が割って入って、興奮している迷惑客を鎮めようとしたら、いきなり殴りかかられてボコボコ状態になった。

身の危険を感じた主任は正当防衛のために、迷惑客を背負い投げで床に投げ飛ばし、制圧した。柔道経験者で腕力には自信があったからだ。投げられた時に迷惑客は腕を捻った。

ホール側は早急に警察に通報し、法的な対応を求めた。

これが事件の一部始終だが、後日、迷惑客は弁護士を伴い「無罪」および「慰謝料の請求」を求めてきたのである。

ホール側としては、納得できない、あり得ない主張だった。 なぜなら、最初に暴力行為を働いたのは迷惑客で、主任の背負い投げは正当防衛としての対応だったからだ。

ホール側も弁護士を入れて争った。そもそも無罪を主張することが納得できなかったのだが、そのワケは、迷惑客は精神疾患があり、入院歴もあったからだ。

事件の際に「違法なことだと分かっていても行動に移してしまう」「自分の行動が法に触れることを理解できない」などの状態が認められると、心神喪失者と認定され、無罪の判決となる。心神喪失は責任無能力とも呼ばれている。

しかし、オーナーはこの状況を重く見た。 従業員の安全を守り、働きやすい職場環境を確保することが企業の責任であるとの考えから、ホール側も弁護士を立て、主任の行動は正当防衛であることを主張した。こうして双方は法的に対立することとなり、事件は長期化した。

和解するまで3年を要した。

最終的な結論は、双方が金銭的な損害賠償を請求しないという形で手打ちとなった。迷惑客はその後、再び施設に入院することとなった。

今回のように客から暴力を振るわれないようにするためには、リスク管理のシミュレーション研修も必要だ。トラブルが発生した際の実際の動きをシミュレーションし、従業員が冷静に行動できるようにする。例えば、複数人がすぐに対応できるような協力体制を構築し、それぞれがどのような役割を担うのか明確にしておくことだ。

また、緊急時に従業員が対応すべき明確なマニュアルを作成することも必要だ。

例えば、トラブル客の対応方法、緊急連絡先、適切なタイミングで警察に連絡する手順などを詳細に規定して、従業員全員が把握するようにしておかなければならない。

仮にトラブルが物理的な対立に発展した場合、どの程度まで対応が許されるかの基準を設け、従業員に定期的に研修することで、法的なリスクからも回避できる。

状況が深刻化する前に警察へ通報する体制も整える必要がある。トラブルが発生した際に、迅速に通報できるよう、従業員に判断基準を周知徹底することが大事だ。



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