パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

猿真似をしないポリシーのホールが猿真似をする意味

地方のホールがいきなり都心へ出店したことは、“喧嘩の技術”を磨くためで、レベルの高い相手と戦うことが目的だった。駅前に大型店を出店した時は、パチンコ業界のヨドバシカメラになることで、郊外型のヤマダ電機になることではなかった。

業界で注目されるホール企業だが、社長が業界誌のインタビューに登場したことは一度もない。「出たがり社長の会社は潰れる」というポリシーがあるからだ。

このホール企業のOBによると、同業他社の猿真似が何よりも嫌いで、業界セミナーの参加も禁じているほど。考え方が同質化するからだ。月2回の会議はコンパと呼ばれ、酒を飲みながら行われた。

日頃から常に自ら考えることが癖づけられており、同業他社が誰もやっていない企画は、少々コストがかかっても比較的簡単に稟議が下りる。

ほんの一例だが、店内ルールの禁止事項を放送する場合、本物の声優を使い、遊技台のキャラ風に注意する。

ホールのマスコットキャラクターと言えば、一般的にはカワイイ系になりがちだが、同社では敢えて悪をウリにしたキャラクターで打って出た。コンセプトは「店を滅茶苦茶にするイタズラ者」。この方が顧客も感情移入しやすい。この戦略はズバリ当たり、他法人がこれを真似て不良風のキャラクターに変更したほどだ。

他社なら絶対稟議が下りないようなことも、「面白い!」と社員の遊び心を優先する。

だから販促力=伝え方が上手い、となる。

これを取材したのはもう8年前のことだった。

師走のアメ横は大勢の買い物客でごった返していた。


上野にホールが林立していた時代は、ホールも賑わったものだが、今はその面影もない。

中でもひと際寂しかったのが前出のホールだった。業界人が試しに打ってみたが「回らない」。

手にしたチラシのチェーン店の来店・取材イベントスケジュールを見ていた30代の客2人が「名のある芸能人ならまだしも。行って見たくなるライターは一人もいないな。この人選ではよっぽどカネがないんだろうな」と話しているのが聞こえてきた。

業界人は身分を明かして声を掛けた。

彼らは専業だった。

「都内のイベントをメインに回っているけど、今は出ないね。昔は月に65万円ほど稼げたけど、最近は稼げない。今は大きなイベントの時に行くぐらいで、水商売で働いている」と現状を語ってくれた。

話しをこのホールに戻すと、どこのホールでもやっているような来店イベントをやっていることに現状の稼働が現れているのではないだろうか。

他ホールの猿真似が嫌いなポリシーは何処へ。



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年末営業での予期せぬドラマ:ホールの正直者たち

師走、農村地帯で営業するあるホールでは、例年にない好調な営業を迎えていた。そのホールは、コメ農家を主な顧客層としている。ことしのコメの相対取引価格が9月時点で60kgあたり2万2700円と、前年の1万5314円から大幅に上昇したことが、この業績を押し上げる一因ともなっていた。

店長も好調ぶりを実感しており、「正月営業でもそんなに割を落とさなくても済むので、お客さんにも喜んでもらえる営業ができる」と自信を見せていた。

そんな年末の忙しい日々の中、このホールで忘れられない出来事が起きた。

ある日の営業中、カウンターに分厚い財布が届けられた。その厚みから中身がただならぬ金額であることを予感させた。店長が立ち会いのもと中を確認すると、現金がなんと70万円も入っていた。さらに、財布には落とし主の名前が記されたカードなども入っており、高額な現金が誰のものなのかは分かった。

財布を交番に届けようかと話し合っていると、血相を変えた男性がカウンターに駆け寄ってきた。

「財布を落としたようなんだけど、届いていないか」

その男性は常連客だった。本人確認を行った結果、財布の所有者であることが間違いないと判明し、無事に持ち主の元へと戻った。

70万円もの現金を持ち歩いていた理由を尋ねると、あるものを購入するために銀行から引き出したばかりだったという。

さらに彼は、「一体誰が拾ってくれたんだ?」と尋ねた。

店長は、まだ店内で遊技を続けている拾得者を探しに行った。そして、ホールの一角でパチンコを楽しんでいる男性を見つけ、「落とし主が見つかりましたよ」とカウンターへ案内した。

落とし主と拾得者が対面すると、落とし主は「ああ、あんただったか」と言い、互いに顔見知りであることが分かった。しかし名前までは知らない。それがパチンコの常連客同士の関係性だ。

拾得物の謝礼として、通常は1割から2割が相場だとされる。今回は顔見知りの常連客同士ということもあり、落とし主は2割の14万円を謝礼として渡した。

拾得者は「これが屋外だったら出来心でネコババしていたかもしれないけど、ホールの中なのでそれはできなかった」と語った。

確かに、ホームグラウンドでの持ち逃げは考えにくい。さらに、店内には監視カメラが設置されており、もし不正を働けばすぐに判明する状況だった。

この出来事を見届けた店長は、以前ネットで話題になっていた事件を思い出した。それは200万円を拾った女性がネコババしたケースだ。財布には落とし主の名前や住所が分かるものが入っていたにもかかわらず、女性は届け出なかった。その後、落とし主が会社の運転資金を失ったことで自殺したことを知り、女性は大きな罪悪感に苛まれることになったという話だ。

拾得物を正直に届ける。それが原理原則であり、今回のホールでの出来事はその重要性を改めて浮き彫りにした。

この年末の出来事はホールが単なる遊技場ではなく、人々の信頼や誠実さが交錯する場所であることを示している。拾得者の正直な行動が落とし主の人生を救い、さらにはホール全体の安心感を高める結果となった。

正直さが生む信頼関係。ホールはそのような価値観が広がる場でもある。今回の出来事をきっかけに、ホールの店長や常連客たちは、人と人とのつながりの大切さを改めて実感することとなった。


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異変が起こった忘年会シーズンとホール

ことしの忘年会シーズンには異変が起きている。コロナ禍では中断を余儀なくされていたが、昨年あたりから再開され、飲食店は忘年会シーズンに大いなる期待を寄せていた。ところがいざ蓋を開けてみると予約は揮わず、大規模な宴会は影を潜め、少人数による気の合う仲間内の飲み会にシフトしている。

今や会社の忘年会は「企画するだけでパワハラになる」、「大人数の忘年会は上司にも部下に気を使わなければいけない」などという傾向が進んでいる。

これによって店側も忘年会シーズンでの売り上げも減少している。飲食店の売り上げは酒がジャンジャン出ることが大きかった。従来は食事60%、酒40%の売上比率だったものが、最近は食事70%、酒30%に。売り上げが3割も下がった居酒屋もある。

コロナ禍を経て忘年会のスタイルと意識が変化している。

これはあるホールのクリスマス会でも同様の傾向が見られた。

このホールでは24日のイブは遅番を対象に、25日の当日は早番を対象にクリスマス会を開催していた。

店長、主任、副主任などの役職者は出席は必須で、一般社員やアルバイトは自由参加という形態をとっていた。コロナ禍では中断していたが、4年ぶりのクリスマス会となった。

クリスマス会の時間も残業手当は出していたのだが、24日の参加希望者は2名、25日は7名だった。以前の参加率よりもかなり少なくなっていた。

それなりに参加者減少原因も考えられた。

例年はビンゴ大会で10万円の予算が会社から出たが、今回はビンゴ大会そのものがなくなった。加えて飲み物はノンアルコールに切り替えた。

酒好きな人からすれば、ノンアルコールではつまらない。酒を飲まない人からすればビンゴ大会がなければ楽しさも半減する。

会社としては親睦目的もあるが、参加者が少ないと開催する意義もなくなってくる。

このクリスマス会から伝わってくるのは、従業員に帰属意識もないということだ。

深夜1時から社員・アルバイトら総勢400名以上が参加する社員の決起大会を取材したことがある。

閉店後となると深夜1時からになる。会場はシティーホテルの宴会場。早番も遅番も一堂に会するのだが、特に女性スタッフは着飾って生き生きとした表情で参加しているのが印象的だった。

このホール企業は業界の非常識の挑戦の連続だった。深夜1時の決起大会も一般常識では考えられない。

社員、店舗表彰では会場内が一体感に包まれていた。

価値で勝たなければ勝ち組にはなれない。価値とは個人ブランドで、この向上こそが勝ち組への道である。止まることなく、前進しなければならない。

このパワーが躍進の源だった…。


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パチンコのノウハウを飲食へ!

今から20年前、2004年。全国のホールの数は1万5000店舗を超え、パチンコ業界は頑張って栄華を極めた。

しかし、この年に業界を揺るがす出来事があった。

風営法施行規則の改正でパチンコの種類区別が廃止され、ハンドルのバイブ機能や抽選演出スキップ機能、連続予告(擬似連続予告は除く)が禁止された。 さらには、大当り確率の下限が1/500に緩和される、確変割合の上限や高確率の上限など、かつてのルールが徐々に廃止され、業界の在り方は大きく変わろうとしていた。

この変化の波を、都内のホールオーナーの1人は敏感に察知した。オーナーは業界の将来に不安を抱き、不動産や飲食業といった別のビジネスに投資をシフトしていく。その理由は明白だ。パチンコ業界の将来は不透明であり、長期的に見てリスクが高いと感じたからである。

不動産業は順調だった。土地やビルの購入、賃貸業で利益を上げ、安定した収入源を確保することができた。

一方の飲食業は大きな浮き沈みを繰り返してきた。 例えば、ブームと見るやクレープ、タピオカミルクティー、ゴンチャ、高級食パン、チーズダッカルビなど片っ端から手を出した。

ブームは所詮一過性で終わる。最初から織り込み済みで、短期決戦を見据えていたものの、ブームが去るのは思った以上に早く過ぎ去り、多くの店が閉店の憂き目に遭う。

結果として、現在残っている飲食店の数は80店舗余。結構、 多いと思うが、この20年間5倍以上の店を閉店したというから、オーナーの苦労は察するに余りある。

飲食店はホール従業員を活用した直営店と、暖簾分けをした独立型の2種類で行われていたが、予想以上に独立型の方が成功するケースが多かった。独立型の店舗は自分の裁量で自由に経営ができるだけでなく、努力した分、見返りも多いため、結果として成功するのだ。

飲食業では多くの失敗から、成功する秘訣を学んだ。その一つが、「酒を提供できる業態が成功しやすい」ということ。 素人でも酒を提供した方が、客単価が上がることぐらいは分かる。

パチンコ営業の極意である押したり、引いたりの駆け引きのようなものを飲食業にも応用している。それが飲食業での特別感=ハッピーアワー=パチンコの出す、だ。特にサワー系はハッピーアワーで安く提供しても損することはない。

口開けと同時に集客するのはパチンコの新台入れ替えに相通じるものがある。

ホール経営一本で勝負し続けることは、リスクが高く、規制や市場の変化に影響を受けやすい。そのため、安定した収益を維持し、業界の不透明性に備えるためには、多角化が賢明な戦略でもある。複数の収入源を持つことで、一つの業界に依存するリスクを軽減できます。特に不動産や飲食業のような比較的安定した業界への進出は、収益の安定化やビジネスチャンスの拡大につながる。



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変えてはいけないものを変えてしまったがために…

ホールも顧客の一つになっている弁当屋の話だ。

コンスタントに売れている弁当屋なのに売り上げが下がり、1割減となった。何が原因なのかと常連客にヒアリングしたところ、意外なことが原因だった。それは「違和感」だった。しかも、たったそんなことで売り上げが下がるのかと、訝しがるような内容だった。

ホールには毎日15個の弁当を配達していたが、ホールでもその「違和感」は感じていた。

その違和感を作っていたのは、1年前にパートで新しく入ってきた主婦だった。ここの弁当屋はセロハンテープで弁当箱の蓋を中央両サイドで止めていたのが定位置だった。それを自分の感覚で勝手に変えていたのだ。弁当屋にしてもその辺の些細な変更は気が付かなかったが、常連客にすれば、いつもの位置にセロハンがないことに、多少のイライラはあったようだ。

弁当屋はセロハンテープの位置を元に戻すと共に、分かりやすいように色つきのテープに変更した。

そんなことぐらいで1割も売り上げが減るとは思えず、「盛っている感」もある。弁当は味で勝負だから、味が変われば、売り上げが減ることも考えられる。セロハンテープの位置の違和感でそんなに影響を及ぼすのか? 

この違和感の話について、ホール関係者が、自店であったことを弁当屋に話した。

若い新米店長が着任した時にそれは起こった。店内の雰囲気を活気づけようと、店内のBGMを若者が好みそうなものに変えた。その店は年配の常連客が多い店だったので、忽ち苦情が入った。はっきり苦情を言ってくれればいいが、「音楽が合わないから」と黙って来なくなるサイレントマジョリティーによって稼働が下がる方が怖い。

世の中、「変えてはいけないもの」があるという話だが、弁当屋にはつづきがあった。

サクラ大根の漬物を安物に替えてその分、量を増やした。これは味が変わったことが分かるので苦情が殺到し、元に戻した。茶色の福神漬けを使っていたが、食欲が湧く赤色に替えたら、これまた苦情が来て、元に戻した。

パチンコに話を戻すと、ホール内で変えてはいけないものを変えてしまったがために、稼働を落としていないか、歳末の棚卸として再点検してみることだ。

これはメーカーに言えることだが、新台が登場するたびに液晶演出が派手になり、複雑化したことで、「予想不能」「当たりにくい」と感じるユーザーが増加して、客離れにつながっている。

また、過去の規制変更で最大出玉や連チャンパフォーマンスが抑制された「出玉感」が、結果的に稼働低下に大きく影響している。

パチンコに求められる根幹は「出玉感」「ゲーム性のシンプルさ」「時間効率」である。これらを変えすぎたことでファンが離れ、稼働が下がる原因になっているとも言える。



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