当該釘学校は不起訴になる前に、書類送検されたのちに解散している。ここ数年は釘学校を開いていた様子もなく、角度ゲージなどを販売していた。
釘メンテに関して大手・中堅ホールは社内で研修している模様だが、研修施設もなく、釘学校までなくなってしまうと、ますます釘の技術は劣化することが懸念される。
では、中小ホールの釘担当者のレベルとは、どの程度なのか? 今から10年以上前に取材したことがある。
「釘を叩いて10年になります。板ゲージと玉ゲージでプライドを持って釘調整をやっていましたが、釘幅管理ツールで実際に測ってみると違いが数値ではっきり表れる。釘幅を揃えたところでネカセの確度も違えば、役物も違う。釘の技術を人に伝えるためには、勘と経験則ではなく、言葉と技術に加え、数値化して理論づけなければならないことを釘学校で学びました」(ホール店長)
この店長が学んだ釘学校はコンマ0.1ミリを管理することを謳っていた。釘シートの丸の範疇である。学校で基礎講座を学んでもそこで成果が出るわけではない。現場へ帰ってからの実践がスタート地点だ。釘の答えは教室にはない。すべての答えは現場にある。
では、現場では何を教えるかというと、こんな概念だ。
「現場実戦は数字が顕著に表れます。だから現場は面白い。現場では来ているお客様に喜んでいただき、また来たくなるようなストレスのない釘を教えています。それを日々積み重ねることで、稼働は自ずと上がっていきます」(釘講師)
今ホールがやっていることといえば、会社側からの利益ノルマを確保するために、荒っぽい釘になっていることが容易に想像できる。「1000円で10回も回らなかった」というユーザーの不満も聞こえてくるように、ストレスを与える釘になってしまっているから、客離れが止まらない。
釘調整が違法と言明されるようになり、釘調整の技術と良心を教えていた釘学校までが消滅してしまい、技術そのものが伝承されることもなくなってしまった。
釘学校の講師が伝えたかったことは、例えば100人のお客さんがいたら、100人全員が満足するような台作りを実践していくことだった。その結果が、稼働や売り上げにつながって行く。

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