今から10年ほど前に6つの町が合併して市に昇格した。人口は約3万人。といっても、町村合併によって膨れ上がった数字で、高齢化が進む過疎の町で、商圏人口は1万人を切る。
総台数は260台。営業歴は20年ほどが経つ。町内にホールは2店舗。地方でよく見かける昔ながらのホールだ。
昨年11月、このホールの立て直しが図られた。
営業方法は4円パチンコと20円スロット。立て直す前もこのスタイルで営業をしていた。その理由は1パチをやりたくてもユニットを買い替える2000万円の予算が捻出できないことにあった。
推して知るべし。
こういう状況だから立て直すための営業予算もほとんどない状態での船出となった。
立て直す前はピーク時で20人ほどの稼働だった。それがこの2カ月間でピーク時に100人を集客するホールに生まれ変わった。しかも、4円と20円の営業のみで稼働を付けているのだから驚きだ。
予算もないホールがどんな方法で蘇ったのか?
「パチンコはみなさん特殊な商売だといいますが、違います。パチンコも一般の商売も皆同じです。お客さんは楽しむためにパチンコをするのですが、お客さんが望むことと店が提供することが乖離していることが今の結果です。お客さんが望むことを提供するだけです。今のホール経営者は機械を含め、一過性のものを追い求めすぎです。今回やったことといえば、交換率を30個交換から38個交換に変更したぐらいです」
限られた営業予算での立て直しがスタートした。38個交換にすることで、お客さんがストレスを感じるようなスタートにしていない、ということだが、それだけで集客が回復するとは思えない。
「こちらとしては回しているつもりだったのですが、お客さんの顔を見ると2日間とも納得していない。商売はお客さんの顔色を窺いながらするものです。それならお客さんが納得するまで回しきろ、と。今日よりも明日、明日よりも明後日と期待感を持たせることで、朝は行列が始まりました」
等価交換では回し切ることもできないが、38個だから店側も安心して回せる。加えて、回しても田舎なのでプロ集団が来ることもない。
「今のホールはお客さんが嫌がることを全てやっている。一世は人の苦労を知っていたが、今の二世は人の苦労を分かっていない。それが今のパチンコの崩落の始まり。人の気持ちが分かればパチンコは必ず復活する」
田舎町で4円パチンコが復活している現状を業界としても見習いたいものだ。やはり等価営業からの脱却が求められる。

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