例えば、5億、10億円と開発予算が決まると、それを使い切る。
まさに、省庁の予算取りと一緒で、それを使い切らないと、次年度の予算が削られるため、年度末になると道路工事が急に増えるのと同じような構図がある。
予算を低くして開発する発想は、資金の潤沢なメーカーにはないようだ。それで経済を回しているといえば、 聞こえはいいが、最終的に機械代を支払うのはユーザーである。
あるメーカーは社名変更を含めたCIに1億5000万円かけた。
CIといえば、カッコいいが、ただ単に社名を変えて、それに見合うロゴマークを作っただけだ。
それだけでは1億5000万円も取れないので、ナゼ、この社名にしたか、ナゼこのロゴマークにしたかという理由をとうとうと書いた分厚い資料を提出した。大半が企画料である。
これは、決してバブル時代の話ではなく、バブル崩壊から失われた10年以上経った頃の話で、機械メーカーがいかに儲けていたかを物語る。
税金に持っていかれるならCIにカネをかけるということか。
カネが取れると思うと広告代理店はさらに襲い掛かってくる。
この会社が広告代理店の提案で社内報を作ることになった。8ページ立てで印刷部数は500部。
フルカラーでもないペラペラの社内報の1回の予算が200万円だった、というのだから、どれだけぼったくってるのか、といいたい。
500部の印刷代なんか10万円もかからない。
残りの190万円あまりが、編集・制作費ということになる。
単純計算すると1ページ当たり23万円かかっている。
よほどカネが有り余っていたのだろう。
ただ、機械メーカーも未来永劫ヒット機種を出し続けることはできない。
ここのところ、ヒット機種がずっと出ない大手メーカーもある。
売れないメーカーの営業マンは、会社から与えられたノルマをこなすために、ホールに日参する。
昔は、営業マンの営業力で売れた時代もあったが、今は商品力にかかっているので、人間関係を構築したところで、買ってもらえるのは付き合い程度の台数だ。
メーカーの営業マンは自社の機械が悪いから売れない、とはおくびにも出せない。
どんなに頑張っても売れないとなると、数字が残せない営業マンは、上司からのパワハラを受けることになるのか?
開発が売れる機械さえ作れば、ノルマに血道をあげることもない。
実際、黙っていても売れるメーカーの営業マンには、必死さもない。
ところで、CIに多額のカネをかけたメーカーはその後どうなったか?
小林旭が1975年に発売してヒットした歌の常態になっている。

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