パチンコ業界が儲かっていた1990年代、ホールがおカネをかけたのは建物だった。ピラミッドにUFO型から壁が割れる仕掛けをしたものなど、奇をてらった建物が多数登場した。
ビジュアル的にも絵になるので業界誌もこぞって取り上げたものだが、奇をてらったものは、長続きしない業界ジンクスがあるのか、そのほとんどが姿を消している。力を入れるのは建物ではなく経営であることを業界は学んだ。
パチンコ業界の原点に立ち返ったホール関係者はこう話す。
「イベントが禁止されて疲弊しなくなった。ガセイベントはすぐに見透かされる。イベントを考えるのも業務上、結構大変だった」
同ホールは業界でも先進的なことを立案して業界誌でもたびたび取り上げられたが、今は鳴りを潜めている。
「パチンコ業界で必要なことは奇をてらうことではなく適正な出玉です。それと他店より少しスタートが回ることを地道に続けることです。抜き過ぎず、かといって出し過ぎるとプロ連中に狙われてしまう。適正な出玉のさじ加減が難しい」
イベントはできなくなったが、適正な出玉を続けていればお客さんは集まるということだが、これをスーパー業界に置き換えれば分かりやすい。
東京・神奈川を中心に100店舗を展開するオーケーストアは日本生産性本部サービス産業生産性協議会の調査で、7年連続顧客満足度1位に輝いている。
スーパーと言えば特売日のチラシで集客するものだが、同社は特売のチラシを一切まかない。
スーパーの特売はパチンコでいうところのイベント出玉だが、それをやらずに顧客満足度が高いのは「高品質・Everyday Low Price」を掲げた営業を実践するためだ。
スーパーの特売品と言えばブランドものではないものを安く販売するがオーケーが凄いのはナショナルブランド品を安く販売するところにある。
たとえば、山崎パンの「まるごとバナナ」は競合店が178~198円で販売しているのに対してオーケーでは108円で販売されている。圧倒的な安さの商品が店内には目白押しである。
値段を下げにくいナショナルブランドでも安くできるのは、商品を複数仕入れるのではなく、絞り込んで大量に購入することで売価を下げている。しかも、他店より高い商品があればその場で値下げする徹底ぶりだ。
ナショナルブランド品でも毎日安く売っているので特売を告知するチラシも必要ない、ということである。チラシにコストを掛けない分、商品を安くできるわけだ。
特売イベントがないのでチラシもない。
目からウロコである。
パチンコの顧客満足はストレスのない回り方で、適度に勝たせてくれる店ということになる。

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