事故を起こしてもずっとアクセルを踏んだまま運転席から降りてこない高齢者の動画なども報道されている。認知症が進行する中で車を運転されては、いつもらい事故の被害者になるかも分からない。
元上級官僚が起こした池袋の母子2名の死亡事故を受けて、都内では高齢者の運転免許証の返納が相次いでいるが、交通機関の発達していない地方ともなると日常生活の足が断たれることにもつながり、都会のようには行かないケースもある。
北海道の冬場は車が唯一の移動手段となる。夏場なら自転車で行けたとしても、冬場は使い物にならない。高齢者が車を使えなくなるということは冬場のホールの稼働に直結する。
「車の運転を家族に止められて、来られなくなったお客さんは何人もいます。運転を止められて家族の人に送り迎えしてもらっているお客さんもいます。お年寄り夫婦が軽トラを運転して来ていたのを息子さんに止められ、息子さんが往復3000円のタクシー代を出しているお客さんもいます」と話すのは温泉地で有名な場所にあるホール店長。
高齢者に支えられているホールにとって冬場の足がなくなるということは、死活問題でもある。その分、経費の抑え込みも怠らない。
「北海道の経済は弱いですよ。1日フルに働いて7000円ほど。1カ月で14万円。これではパチンコも打てません。ウチはこの5~6年の間で新台は100台も買っていません。昔は1年で1回転していたことを考えると本当に新台は買えなくなりました」(同)
この状態で冬場に高齢者が車で来られなくなるのを手をこまねいて見ているよりは、マイクロバスを走らせる方法を考えたらどうか。
大手の郊外ホールが駅とホールを結ぶマイクロバスを運行しているが、これは動く広告と捉えている意味合いもある。

中小ホールが参考になるのは、大分県津久見市の「セントラルパーク津久見店」が走らせている無料シャトルバスだ。バスと言ってもワンボックスカーなので、ハードルは低い。
津久見市の人口は約2万人。若者の90%は高校を卒業すると就職や進学で町を離れる。人口は60代以上が主流で、うち、30%が一人暮らし。老老介護の町でもあり、商店も次々に閉店。活気のない町にあえて出店して6年になる。
無料バスは、夕方6時が最終バスという土地柄からスタートさせた。最初は1桁台の利用客しかいなかったが「タクシー代が助かる」と今では1日40人以上が利用している。
北海道なら4~5店舗で構成されている単組で共同運航する方法を取れば、1店舗当たりの負担も軽くなる。
高齢者の免許返納時代に必要なサービスである。

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