19万筆の民意は吉村知事に届くことはなかった。大阪維新の会は橋下徹知事の時代から大阪・夢洲へIRカジノを誘致することを公約に掲げて選挙に勝ってきたため、維新の支持率35%が条例案を抑え込んだ。もっとも条例案が可決して住民投票でカジノ反対派が多数になったとしても、それによってカジノを止める法的効力はない。
大阪でカジノを反対しようと思えば、横浜市のようにカジノ誘致を反対する市長が、選挙で出てこない限り阻止することは難しい。
しかし、大阪での維新人気はまだまだ衰えることを知らない。大阪府市議会では維新が与党で、自民が野党の立場にある。先の参院選では大阪選挙区は定員4人に対して、維新が2議席、自民が1議席、公明が1議席。比例で維新は8議席を獲得。立憲民主を抜いて野党第1党となった。
そもそも、IR法案は安倍元首相の肝いりで成立した経緯があるのに、大阪市議会では自民党がIRカジノの反対に回った。もちろん、最初は経済効果を期待して賛成していたのだが、その理由は①募集項目が修正された問題、②土壌改良費790億円負担問題、③経済波及効果の数字の信ぴょう性を挙げる。
大阪府市とMGM・オリックスが設立した大阪IR社の間で結ばれた協定書の中身は、事業者側に都合のいいことばかりが書かれた内容となっている。土壌改良費を大阪市が負担することになったのもその一例。
夢洲を管理する大阪港湾局は、かつて販売した土地に関して土壌汚染・液状化対策費を負担した例はなかった。
事業者側が契約解除する条件として「土壌に関する大阪市における適切な措置の実施等」が加えられている。つまり、大阪市が適切な措置を取らなかったら契約を解除することができるわけだ。
そもそも夢洲は工業用地で商業用地として埋め立てられたものではない。倉庫程度の建物なら地盤沈下は起こらないが、高層ビルを建てると自重で沈んでしまう可能性がある。護岸工事からやり直す必要が出たり、ジャッキアップなどの地盤沈下対策費を今後は大阪市が負担することになるので、負担額は790億円では済まなくなることは想像に難くない。
行政は一度走り出したら止まらない。
後はインバウンド復活に賭けるしかない。IRカジノの成否はそれこそがバクチのようなものだ。
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