とあるお店の店長と閉店後に釘帳を見ながら打ち合わせをしていた時のことです。
「副店長呼んできて」
とそばにいる主任に大きな声で店長は言いました。
間も無く副店長が事務所にやってくると
「副店長、この388番台の特賞が1回なんだけど、どうなってる?」
「どうなってる?あ、はい。確率が悪かった・・・」
「違うだろ!俺はこの台に座っているお客さんが一日中打っているのを知っている。君はそれを知っているか?」
「いえ、すいません。知りません」
「この台アウトが58000個入ってるんだよ。それで特賞が1回。この現実をどう思うのか?」
「いや、大当たりは僕の力で操作できるものではないので」
ややむっとした表情で副店長はそう答えました。
「そんなことは俺でもわかる。問題はここに座ったお客がかなりの金を使い、その結果1回しか大当たりを引けてない。どれだけの損でどんな思いで帰っていったのか。副店長君はそこまで考えた事があるのか?」
副店長は無言でした。
「明日はこの台、どんなことをしてでも差玉をマイナスにしろ!心の中で客に謝れ!」
「・・・分かりました」
この結果がどうなったのか。副店長は何をしたのか。そして388番台に座ったお客さんがどんな気持ちで翌日またこの店に来たのかを知りません。
私の記憶が正しければこの店長、当時37歳だったと思います。
そばでその一部始終を聞いていた私はただただ脱帽するばかりでした。
ものづくり、釘はその人の思想が現れます。誠心誠意、とことん取り組むのか。数値が合えばいいのか。様々な考え方があるでしょう。
私はこの店長の思想に大いに共感します。少々できた気でいた副店長は自分の仕事が100点だと思っていたことでしょう。
釘帳を見てみればスタートからベースまできっちりとその数値が統一されていて非の打ち所がないくらいです。しかしそれは作り手のマスターベーション。良いものは顧客に評価されて初めてものとして存在する事ができるのではないでしょうか。それを表すのが差玉です。
店長はその視線を顧客の正面に据えてもらいたいものです。
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