出世意欲の高い人なら店長を目指して切磋琢磨働くのだろうが、最近の新入社員は責任を負わされることを嫌い、管理職になりたがらない傾向が強まっている。
万年平社員とはいかないだろうが、役職はせいぜい「主任で十分」と思っている人も少なくない。
新卒でホール企業に入社したAさんが同社を選んだ理由は、給料の高さだった。初任給は1年目から手取りで28万円あった。ボーナスは2年目からは夏と冬のボーナスはそれぞれ3カ月分と申し分なかった。
週休2日制を導入しているので月8回の休みも取れた。
給料と休日に不満はなかったが、問題は労働時間の長さだった。早番と遅番のシフト制だが、早番の時は7時には出社。遅番の時は閉店後に台の入れ替え作業や販促物の制作に追われた。
この労働時間の長さに段々嫌気がさしてきた。役職者になるともっと拘束時間が長くなることを考えると、役職者になりたいとは、思わなくなった。ましてや、店長なんてもっと大変な仕事に見えた。
店長の仕事は大変とか、苦しい、と思っているから店長になりたがらないが、店長の仕事を一般社員に分散して成功しているホールもある。
まず、この会社のケースでは店長になると年1回、8日連続の休暇を取ることが義務付けられている。その間、会社と一切連絡をしてはいけない、というルールまである。現場もいくら困ったことが起こっても店長へケータイへ電話してはいけない。
8日間、店長が不在でも店が回る仕組みが作られているから、こんなことができる。
仕事もパチンコ、パチスロ、販促、メンテナンス、接客などは、それぞれが得意な社員がチームを編成して取り組んでいる。店長はチームで決めたことには、口を挟まない。全体を取りまとめるのが店長の仕事であり、全員が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を作ることが店長の仕事となった。
機種選定にしてもチームで考えて真剣に決めるので、選定に失敗しても言い訳が出来ない。自分たちの責任で選定しているので、どうやったらお客さんが付くかを考えるようになった。
任すことができる体制が出来上がると、店長だからといって最後まで残る必要もない。逆に任せることによって時間内に終えることができるようになる。
店長になりたくない、というホール企業ではまず、店長が8日連続で休暇を取ることなど夢のまた夢だろうが、任せることによってそれが実現するだけでなく、任せることによって前向きな組織になる。

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